対戦相手のベテラン右腕からも称賛

 カブス戦で8回無失点、10奪三振の圧巻の投球で今季2勝目を挙げたヤンキース田中将大投手に対し、完敗を喫した相手選手も賛辞の嵐を送った。

 ボストンの地元ケーブルテレビ「コムキャストスポーツネット」の電子版によると、ヤンキースタジアム初勝利を挙げた田中に対抗し、7回3失点と力投したカブス先発のジェイソン・ハメル投手も素直に脱帽している。

「(田中には)ものすごく感銘を受けた。彼のスプリットは圧倒的だ。多くの空振りを奪っていたし、バットにまともな当たりもなかった。バッターに聞けばどんなにいい投手か教えてくれるはずだよ。今日は素晴らしかった」

 今オフに田中の争奪戦でヤンキースに敗れたカブスはオリオールズからFAになっていたハメルを獲得。カブスにとっては移籍市場で本命ではなかったが、今季2勝1敗で防御率3・05と活躍している。メジャーデビューから9年目を迎えるそのベテラン右腕から田中は賞賛を受けた。

 バントヒット2本に抑え込まれた屈辱の打撃陣も褒めるしかないようだ。

 4打数無安打、2三振と不発に終わった4番のネイト・シャーホルツ外野手は「田中をなぜ打てないかというと、彼は好きな時にどんな球種でも投げることができるからだ」と分析。「色々話題になっているけれど、(田中は)今のところ素晴らしい。サイ・ヤング賞受賞に関しては少し早すぎる気がするけど、今日はいいピッチングだったよ」と潔くその力投を称えているという。

“本物のスプリット”を投げられる投手

 2番打者のジャスティン・ルジアーノ外野手は「使える球種が多い。スプリットもいい。ボールの変化も同じじゃない。ストライクゾーンから落ちるボールの次には、ストライクゾーンギリギリのサイドから逆サイドに変化した」と説明。この日の10奪三振のうち、8つを奪ったスプリットの軌道に驚きを隠そうとしなかった。

 このスプリットに関しては、各紙も称賛のコメントを掲載している。

 ニューヨーク・ポスト紙は、シャーホルツの「あそこまでのボールはあまり見たことがない。本物のスプリットを投げられる投手は片手(5人)で数えられるくらい。彼には間違いなく有利になる」というコメントを紹介。

 また、ニューヨーク・デイリーニュース電子版は、カブスのリック・レンテリア監督が「スプリットが相当落ちる。ワンバウンドするボールもあった。バッターはみんな“速球のように見えるけど、落ちてくる”と話していた」と白旗を上げている様子を報じた。

 さらに、ヤンキースのラリー・ロスチャイルド投手コーチも、スプリットに関して「(右打者は)ほとんど打てない」と評価し、「3試合全ていいピッチングを見せている。今日は少し落ち着いていたね。最初の2試合は(失点という)逆境があったから、我々にとって有益なテストだった。でも、彼はすぐに対応した」とコメントしている。