内田篤人 (撮影:岸本勉/PICSPORT)

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内田篤人選手はほとんどの場合、最初にミックスゾーンに現れる。待ち構えていた記者がわっと群がる。一見ぶっきらぼうに見えながら、丁寧に答えていくのが内田選手のスタイル。ワールドカップ出場を決めたいオーストラリア戦を前に0-2と敗戦したこの日も、ややもすると乱暴な言葉を使いながら素直に心情を吐露した。

「後半よくなるのかなと思っていたら、前半のほうがよかったんじゃないか疑惑」

そんなちょっとふざけたようにも聞こえる答えからスタートした。もちろん、これは敗戦の悔しさを隠す内田選手独特のスタイルだ。すぐに続けてこう語った。

「だからシステム云々じゃないってことです」

――何が悪かった?
その問いに内田選手は「えー」としばらく考え込んだ。そして「何がよかったですかね」と厳しく振り返る。

「失点はしょうがないと思います。あのゴールは。オレたちは(何も)できないというか。(川島)永嗣さんにはこれまで助けられた場面がたくさんありましたし、ブレ球だったからね。雨だったし。誰も声かけに行ってないと思うし。永嗣さんなら勝手に持ち直すだろうって(微笑)。強い人だから」

確かに失点は仕方がない。相手のFKを褒めるべきだろう。では問題は何だったのか。セットプレーが課題だろうか。

「セットプレーは散々(監督も)言ってますし、そうだと思いますけど。でも個人を攻めるのではなく、その前のファウルの取られ方とかよくないと思います」

それもあるだろう。システムはどうなのだろうか。

「3-4-3で始まりましたけど、人がポジションにいれば。(ボールが)廻せるときは廻せたけど、慣れですからね、新しいポジションってのは。あまり意識しないほうがいいと思うのですが」

「動き自体は普通だったと思います。ポジショニングの連動という意味では、守備では。でも少し前のパワーは足りなかった。もっと前に行かなければいけない」

日本は前に行けず、点が取れなかった。

「失点の後、時間があったんで。早く失点したぶん、取り返す時間が。シュートチャンスもありましたけど、向こうの方が頑張ってたね。試合前のミーティングでいいチームだと思っていましたけど、よく頑張るし、技術も高いし。ヨーロッパではあれが普通のレベル。移動も時差もあるはず。でも、あれがヨーロッパでは普通」

「向こうは頑張っていましたからね。こっちはいいボールを上げてもマイクに体をぶつけて枠に行かせないようにしましたからね。そういうギリギリの一歩だと思います。そういうところが出てくるようなチームじゃないと、こういうちょっとレベルが高い相手だと厳しいかな。変な意味(で言えば)アジアで助かってるんです。向こうが外してくれるとか、ボールがよくないとか。ごまかしがきかないと、ボロが出るというか」

そして内田選手は日本の弱点をこう分析した。

「誰もが大事だとわかっているこういう時期に勝てないというのは精神的な弱さを感じる。強いチームはこんなときに負けない」

「ちょっと決まり事を意識しすぎているかな。日本人ですから。監督から言われたことを忠実にこなす民族ですから。海外でやってると、コイツ監督の言うこと聞いているのかなって選手ばっかりですから。それで点が入ればいいし。考えすぎず、約束事だけ(やればいい)」

ではオーストラリア戦はどうだろうか。状況を厳しく見つめながら、内田選手はこの話に区切りをつけた。

「引き分けでいいという状態からズルズルということもありますからね。それは避けたい。メンタルじゃないけど、次はもっと厳しく。こういう状況はオーストラリア戦でもあるかもしれない。そんなときにもっとサッカーしなければならない」

「オレがわかってるから、みんなわかってるんじゃないかな。頭では。そこから一つ弾ければ!」

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