故・中村勘三郎さんとのエピソードを明かした片岡孝太郎

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 ハリウッド映画『終戦のエンペラー』の記者会見が24日都内で行われ、歌舞伎界で女形として活躍している片岡孝太郎が、故・中村勘三郎さんのアドバイスで本作への出演を決めたことを明かしたほか、オスカー俳優トミー・リー・ジョーンズとの共演について語った。

 『終戦のエンペラー』の舞台は終戦直後の日本。GHQ(連合国軍最高司令官総司令部)のマッカーサー元帥(ジョーンズ)から「第2次世界大戦の真の責任者はいったい誰なのか」という極秘調査を命じられたボナー・フェラーズ(マシュー・フォックス)が数々の困難を乗り越えていくさまを描く。

 昭和天皇役の片岡は、オファーがあった際、すでに歌舞伎の公演が決まっていたため出演を迷っていたという。「そこで亡くなった勘三郎の兄貴に『プロデューサーの奈良橋陽子さんからこういう話がある』と言ったら、『おまえ、歌舞伎やっている場合じゃないだろ。出て来い!』と言ってもらえた」とのエピソードを披露し、「自分なりに力いっぱいやったつもり。とてもいい作品に仕上がった」と作品の出来に自信を見せた。

 さらにジョーンズと対峙(たいじ)したときのことを「彼が撮影現場に来ると、今までと空気感が変わりました」と振り返った片岡。「(ジョーンズが)何回もテストをする監督に『何回もやらせるな! 1回でできる!』と怒ったんです。僕は何を言っているのかわからなかったので、一瞬、まずい芝居をしたのかなとビックリしたけど、僕の演技を信頼してくれたんだなと思って。その後、トミー(・リー・ジョーンズ)さんが歩み寄ってきて、僕に握手してくれた。この作品に出られて本当によかったと思いました」と充実した表情だった。

 映画『真珠の耳飾りの少女』のピーター・ウェーバー監督、『ピアノ・レッスン』の撮影監督スチュアート・ドライバーグ、『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズのプロダクションデザイナー、グラント・メイジャーなど、ハリウッドの一流スタッフたちが集結した本作。鹿島大将役の西田敏行は「アメリカから見た日本人と天皇のあり方をしっかりと描いた作品に参加できて光栄」と満足げに語った。この日の会見には片岡、西田のほか、初音映莉子、中村雅俊、伊武雅刀らも出席した。(取材・文:壬生智裕)

映画『終戦のエンペラー』7月27日より全国公開