闇が水面まで下りると、工場の明かりを鏡のように映しだす。

工場は思いのほか間近に見え、JFEスチールや東亜石油、日清製粉などの、丸い石油タンクや煙突、クレーン、入り組んだパイプなどが重厚な造形は見ていて飽きがこない。

しかも、屋形船が細い運河に入り始めると、船の左右に工場のアップが見え迫力満点だ!乗船客も、いきなり出だしからシャッターチャンス狙いに余念がない。

立ち上る白い蒸気、赤いフレアスタックも、ダークブルーの空を背景にすると、より一層その存在を際立たせる。

工場を縁取る真っ白な明かり、タンクを浮かび上がらせるオレンジの光の競演も見事だ。

どの工場が何を作っているのかなど、ガイドさんの説明を聞きつつ屋形船は進む。

時折、行き交うトラックや人の気配を感じ、昼夜問わず工場が人々の生活を支えていることに気づかされる。

海ほたるなども眺めつつ、やがて屋形船は元きた乗船場に戻るために狭い運河を抜けていく。

するとたくさんの工場が立ち並ぶ光のパノラマが広がって、得も言われぬほどロマンチックな雰囲気に。

塩浜運河、池上運河、田辺運河などをたっぷり巡る約2時間の乗船時間を終える頃には、一人前に“工場萌え”した気分だ。

ちなみに、工場夜景を見るツアーはこの他にも、横浜から出港するコースやバスツアーなど複数ある。

バスツアーは途中数カ所で下車して、工場を間近で見上げる時間も設けられているのがポイント。

その他のコースにも、マニアならずとも楽しめるプランがいっぱいだ。

●information旅プラスワン