「ついにベイスターズが最下位を脱出」。そんな見出しでコラムを書く予定だった。

　優勝しようなんて非現実的な夢を抱いているわけではない。ただ、リーグ戦で蚊帳の外には置かれたくない。すっとそう言ってきた。そして、ついに最下位から脱出するチャンスが巡ってきたのだ。

　天王山は、８月１４日から１６日の対タイガース３連戦だった。タイガースとのゲーム差は３．５。３連勝すれば０．５ゲーム差と逆転の足がかりがつかめる絶好のチャンスだった。ベイスターズが追いついたというわけではない。タイガースが転げ落ちてきたのだ。

　タイガースの戦績は惨憺たるものだった。７月は、５勝１４敗。８月は、この３連戦まで、２勝８敗だった。久々のダメ虎完全復活だ。対する８月のベイスターズは、４勝６敗。勢いから言えば、３タテが十分に可能な状況だったのだ。

　ところが、３連戦は１勝１敗１分けで、結局タイガースとの距離を詰めることはできなかった。３連戦以降も、ゲーム差は詰まらず、８月２０日終了時点で、タイガースとのゲーム差は４．５ゲームと、むしろ開いてしまっている。

　なぜ、ここ一番で追いつくことが出来ないのか。その原因ははっきりしている。きちんと抑えられるピッチャーがいないからだ。実際、ベイスターズのチーム打率はリーグ４位と、そこそこ打っている、問題はリーグ最下位の防御率に現れている投手力の弱さだ。

　だから、リーグ戦を活性化するためにも、やはりドラフトはウェーバー方式にして、飛び抜けて優秀な投手をベイスターズが最優先で採れるようにすべきだろう。

　お目当ての投手はいる。甲子園で歴代３位の６８奪三振を記録した地元神奈川県、桐光学院の松井裕樹投手だ。ウェーバー方式がすぐに無理なら、超法規的措置でもいいから、彼をベイスターズに加えてもらえないだろうか。もちろん松井選手はまだ２年生だから、すぐに入団することはできない。しかし、どうせ超法規的措置をとるなら、とりあえずアルバイトで登板させてもよいだろう。当然、初登板は８月２８日からの対タイガース３連戦だ。夏休み中だから、学校には迷惑がかからないし、彼が登板すれば、３連勝できる気がする。

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森永卓郎（もりながたくろう）
昭和32年生まれ　東京大学経済学部経済学科卒業
日本専売公社、経済企画庁総合計画局、（株）ＵＦＪ総合研究所などを経て、現在、獨協大学経済学部教授。専門は労働経済学。主な著書に『年収300万円時代を生き抜く経済学』光文社2003年、『しあわせの集め方　Ｂ級コレクションのススメ』扶桑社2008年など多数。
・森永卓郎オフィシャルWEBサイト