世界最大規模のユニクロが銀座にオープン 業績下向きでも強気出店の狙いとは
カジュアル衣料大手の「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングは、2012年3月16日、東京・銀座に「新生・ユニクロ銀座店」をオープンする。世界最大規模の売り場面積にスタッフは6か国語対応と、グローバルを意識した店舗になる予定だ。
2011年8月期の決算では、国内事業が足を引っ張り4年ぶりの減益となっている同社だが、今回の銀座店に勝算はあるのか。
地上12階、売り場面積約5000平方メートルの巨大「ショーケース」
世界で9番目となるグローバル旗艦店「ユニクロ銀座店」は、銀座6丁目の中央通り沿いに誕生する。建物の地上12階、売り場面積約5000平方メートルという大型店舗だ。
2、3階では季節の主力商品を展示し、4〜6階が女性向け、7階がベビー・子供服、8、9階が男性向けとなる。10階では、今回のオープンにあわせて登場するファッションブランド「UNDERCOVER(アンダーカバー)」との共同企画シリーズを販売し、11階ではアニメや企業とコラボレーションしたTシャツ「UT」を一堂に集める。
また、スタッフ約520人のうち約100人が外国人で、英語、中国語、韓国語、フランス語、スペイン語の6か国語での接客を可能にするほか、フロア案内などを行うコンシェルジュを約20人、7階には保育士も配置する。銀座の新名所として、国内だけでなく、世界に向けた「巨大なショーケース」になる予定だ。
同社広報は、「これまでの海外出店で培ってきたノウハウをすべて凝縮し、最高の商品・サービスを提供していく」と話す。具体的には、ユニクロすべての商品を取り扱い、約260体のマネキンで理想の着こなしを見せることで、今、どんな服をどのように着ればいいかを一目で分かるように提案していく。
銀座が成功したところで何も変わらない
しかし、2011年8月期決算は、売上高が前期比0.7%増の8203億円と過去最高だったものの、営業利益は12.1%減の1163億円、純利益も11.9%減の543億円と落ち込んだ。原因は、売上げの7割超を占める国内事業が足を引っ張ったからと見られている。2012年8月期第1四半期も、国内ユニクロ事業の営業利益は10.3%の減益だ。1月はヒートテックを中心とした冬物販売が好調だったこともあり、直営店計の売上高は前年比113.3%と盛り返してはいるが、決して安心できる状態とは言えない。「新生・ユニクロ銀座店」は国内業績を上向きにする起爆剤として期待されているのだろうか。
「私たちの商売は、どれだけ計画以上に売っていくかが大事です。全体のニーズを常にリサーチし、商品やサービスの質を高めていかなくてはいけません。たとえ銀座店1店舗が成功しても、全体に影響はないと思います。商売のやり方が変わるわけではないので」
広報によれば、銀座店はあくまで「1番新しいユニクロ」の象徴であり、業績とは別に考えているという。「安物」というイメージがまだぬぐいきれない日本と、都会にしかないクールなブランドとして定着している海外との「温度差」を少しでも埋めるため、新しいユニクロを見せていくのが1番の狙いだそうだ。