左より高良健吾、吉高由里子
 2008年4月から翌2009年3月にかけて毎日新聞夕刊にて連載され、同年9月に単行本が発売された、吉田修一著による『横道世之介』。2010年本屋大賞3位、第23回柴田錬三郎賞を受賞した話題作が、この度実写映画化されることが決定した。

 原作は、1980年代を舞台に、上京したての大学一年生・横道世之介の日常と、彼を取り巻く人々を優しい目線から描いた吉田修一の青春感動長編「横道世之介」(毎日新聞社 刊)。主人公の世之介を演じるのは、2011年『軽蔑』(廣木隆一監督)にて主演を務め、NHK連続テレビ小説「おひさま」に出演するなど、話題作への出演が続いている注目の俳優、高良健吾。『南極料理人』『キツツキと雨』に続き、沖田作品初の主演を務める。

 世之介のガールフレンドで社長令嬢の与謝野祥子は、連続ドラマ「私が恋愛できない理由」(CX)や映画『カイジ2〜人生奪回ゲーム〜』(佐藤東弥監督)、『ロボジー』(矢口史靖監督)でヒロインを務め、今年3月に『僕等がいた』(三木孝浩監督)の公開を控えるなど、若手実力派女優として高く評価されている吉高由里子が演じる。

 脚本を読み終えて、高良は「とにかく面白い! 世之介が大好きになりましたし、なにがなんでも世之介役をやりたいと思いました。沖田監督の作品は、脚本を読んだ以上に現場で更に面白くなるので、楽しみでしかたないです。」とコメント。一方、吉高は「なんだかわからない出会いや話題で毎日過ぎていく中の、なんだかわからない事や、なんでもないような日が、ふと吹く生暖かい風のような思い出されかたでも、誰かの人生の地層の一部になっていることに、生きてる意味の輪郭に触れたような、記憶に対するいとおしさを抱いたような、不思議な気持ちになりました。」と述べている。

 また、お互いの印象について、高良は「吉高さんとは『蛇にピアス』で共演させて頂いているのでとても安心しています。久しぶりに会う友達みたいに再会できたら嬉しいです。吉高さん自身がコメディ映画のように面白い方ですし、しっかりしているので、現場をひっぱってくれると思います。だから、世之介のように吉高さん演じる祥子にひっぱられていけば大丈夫だと思っています。安心して、僕は前向きな他力本願で頑張ります。」とコメント。

 対する、吉高は「高良さんと共演させて頂くのは約5年ぶりで19歳の頃、ご一緒しました。今回すごく楽しみでもあり、あの頃から自分が成長してなかったらどうしようと思う不安もあります。高良さんと共演という形で再会するのはとても嬉しく思います。信頼しあえるような関係性を作って、いい作品を残したいです。」と述べている。

 一生懸命生きる人々を優しく見つめ、独特のユーモアを生み出す絶妙な演出に定評のある沖田修一監督が、劇団「五反田団」主宰、『生きてるものはいないのか』(石井岳龍監督、2月18日公開)の劇作家・小説家の前田司郎と共に脚本を手掛け、1980年代後半に青春時代を送った若者たちの日常と彼らのその後を温かく描く。撮影は、3月下旬から5月上旬にかけて、都内近郊各所や長崎ロケにて行われる予定。2013年、全国ロードショー。

横道世之介』ストーリー
横道世之介は、長崎の港町生まれ。大学進学のために上京したばかりの18歳。嫌みのない図々しさが人を呼び、人の頼みは断れないお人好し。描かれるのはそんな世之介とガールフレンドの与謝野祥子をはじめ、まわりの人々の青春時代と彼らのその後。そしてその後、世之介に起こったある出来事から呼び覚まされた、その愛しい日々と優しい記憶の数々…。究極の青春感動作!

映画『横道世之介』公式サイト