アメリカのマイナーリーグの統括機構である、MiLB(マイナーリーグベースボール)。最高峰の一軍たるMLBが、全30球団で構成されるのに対し、MiLBには合計で約170球団が所属しているとされ、同国のプロ野球リーグの中では(少なくとも球団数という意味では)最大規模の団体となっています。 

 そのMiLBが、このたびオランダ出身右腕のスウェン・ハイヤー投手(21)に対して、自身のオフシーズンにおけるルーティンワークや、母国での近年の野球の発展ぶりなどについてのインタビューを行いました。レッドソックス傘下に所属しているハイヤー投手は、2008年にレ軍と契約し、3シーズンをルーキー級で過ごした後、今年からA-級ローウェルでプレー。14試合にリリーフ登板し2勝2敗、防御率2.41という成績を残しました。個人旅行でNYを訪れた際の、彼の生の声をお聞きください。 

―:ニューヨークへようこそ!!今回の訪問が、君にとっては初めてになるのかな? 
ハ:いや、最初は父親と一緒に来たんだ。僕は小さい頃にティーボールをプレーしていたんだけど、海外旅行が当たるコンテストがあって、たまたま自分がその賞を引き当てたんだ。その時は4日間の日程で、ヤンキースタジアムにレッドソックスとの試合を見に行った。延長11回、ヤンキースが12対11で勝ったんだ。その時が一番最初の訪問で、2回目は去年、ブルックリン・サイクロンズ(メッツ傘下)やスタッテンアイランド・ヤンキース(ヤンキース傘下)と対戦した時さ。 

―:今、君はオフシーズンのほとんどをオランダで過ごしているよね。レッドソックスと連絡を取り続けるのは大変?毎日のルーティーンワークは、どのようにしているんだい? 
ハ:レッドソックスはオフシーズンの間、彼らが僕にどのように過ごしてもらいたいと思っているかを教えてくれる。それは例えば、ワークアウトを記録するシートを配ることもそうだし、スプリングトレーニングの時に最高のコンディションでいられるように、食事に対して指示することなんかもそうだね。それに加えて、ジムでのワークアウトや長距離走も、欠かさず行っている。特にピッチングをさらに強化するためには、下半身の強化が重要だと思っているからね。 

 それに加えて、僕はアムステルダムにあるMLBアカデミーで、投手コーチも務めているんだ。そこでは、オランダが生み出した最高のタレントたちと、一緒に仕事をしている。もちろん、6か月も母国を離れているから、家族や友達と過ごす時間も、僕にとっては非常に貴重だ。 

―:シーズンの間、母国の人々と連絡を取り合うのは大変? 
ハ:例えばアメリカ人の選手なら、自宅に電話したいと思ったらすぐにかけられるよね。ただ、残念ながら僕にはそれはできない。なぜなら、オランダに国際通話をかけようと思ったら、通話料がバカ高くなってしまうからね(笑)。だから、連絡を取るためにはネットを使っている。電話に比べれば少々大変ではあるけど、今は技術の進歩のおかげで、ネット経由でも自在にやり取りができるから、たいして問題にはしていないかな。 

―:現在はオランダで生活しているわけだけど、アメリカを離れる時は寂しくなかった? 
ハ:そうだね。今年ローウェルでプレーしていた時は本当に楽しかったから、母国に戻る時は確かに寂しさはあった。ファンはもちろん、素晴らしいチームメイトにもたくさん恵まれた。自分が居たい場所はローウェルだと思っていたから、本当につらかったよ。野球選手なら誰でも、大リーグでプレーするという大きな夢を持っている。だからアメリカから離れる時、少々変な感じがしたんだ。なぜなら、僕のゴールはオランダではなく、アメリカにあるんだから。もちろんうちに帰って、オフを楽しむのはいいことだけど、スプリングトレーニングの用意はできているよ。