「美女はモテたきゃ太れ」モテない美女=“負け美女”30人にきいた実話
「美人はモテない」一度は耳にしたことがあるだろう、こんな“噂”。だが、このような“負け美女”を日夜飲み歩く現場で目撃し、一冊の本にまとめた女性がいる。犬山紙子、29歳、彼氏いない歴3年……。趣味の“飲み歩き”を通じて、モデルやアイドルなど美女らとの交友が深まり、数々の「美人はモテない」エピソードを耳にする。にわかには信じがたい、そんな“負け”エピソードをイラストとエッセイでまとめた犬山に、“負け美女”の話を訊いた。
―― 早速ですが、犬山さん、肩書きがニートなのはなぜなんでしょうか……
そうですね……働きたい!という意欲は少しあったんですが、ただ出社はしたくないなと。最初は漫画家を目指していたんですが、背景とか描くのが大変すぎて、あきらめて。でもあきらめきることができなかったので、2年ぐらい前からイラストとエッセイのブログを始めました。飲みに行くのが好きなので、ブログをやっていれば“ネタ探し”という大義名分ができるなと。
―― よく飲みに行くようになったのはいつ頃からなんですか。犬山:働き出してからなんで、22才くらいからですね。
―― 何がきっかけで?犬山:彼氏がいないからですね!そんなの、私だって彼氏がいたらずっと一緒に居たいですよ!ひとりでご飯食べるのも寂しいし、似たような境遇の子と夜な夜な飲んで、寂しいもの同士擦り寄ってる感じですかね。
―― 本のシニカルな内容からすると、タフな印象を受けるんですが……それほど彼氏は重要ですか?犬山:重要ですよ!超重要ですよ!そういうスタンスとりますよ、私。とりますけど、本音はめっちゃほしいですよ!ちょっと頭良さそうな感じで、「いてもいなくてもいいけどね」なんて言いますけど、本当は彼氏がいたら本も書かないしブログも更新しませんよ!でもこれで上手い言い訳ができますよ。“負け”っていう作品をかいてるから居ないんで、本気になればいつでもできるって、ね……。
―― そもそも、周囲を観察することが好きだったんですか。犬山:せっかくブログをやるなら、面白いネタをためて、いつか本を出したいなと思って。それで観察するようになりました。
―― “それでも女はDV男に走る”、“草食系男子の浮気”など、本当に色々な話がありますが、なかでも、「これはひどい」というエピソードはありますか。犬山:“クソナンパ野郎観察日記”ですね。これ、場所は都内のクラブだったんですが、可愛い女の子が、紫色のピタピタのVネックを着た男にずっとナンパされてたんですよ。そういう、ナンパをするようなクラブでもないのに。紫色のピタピタのVネックは、隙あらば可愛い女の子に抱きつこうとしたり、本当にしつこくて。でもその感じが少し面白そうだったし、ひとりだったし、それに私はナンパされないし……。それで観察することに決めたんですよね。
しばらくすると、女の子がピシャっと言ったんですよ。「私、彼氏いるし」って。そしたら男が「じゃあ友達になろうよ!」と食い下がった。そこから男の“オレ語り”が始まって、「夜はDJやってる!」とか、「オレも彼女はいる」とか。で、最終的に、「まぁ、セックスは好きかな」って言ったんですよ(笑)。それで女の子が「彼女いるなら声かけんなよ」って怒って。最後はその紫Vネック、連れの男の子にたしなめられてようやく帰ったんですよね。それで私はよかったなって思ってしばらくその可愛い子をみてたら、最終的におしゃれイケメンにナンパされて、お持ち帰りされたという……切ない話ですね。●誕生日にふられる
―― “負け美女”のエピソードは色々ありますが、自身の体験談では何かないんでしょうか。
犬山:そうですね……私、誕生日とかクリスマスとか、記念日によくふられるんです。誕生日の1カ月くらい前までは、ああしよう、こうしようなんて、「祝ってあげる」という雰囲気があるんですよね。でも当日にいきなり「もう恋愛感情がない」って言われて……。
―― ……それはいつぐらいの話ですか。犬山:3年前ですね。
―― ではそれが最後の……。犬山:はい!しかもディズニーランドで、その日は土砂降り。ミッキーやミニーも見れなくて。おまけに体調も良くなくて、アトラクションにも乗れず、地下のフードコートで
2時間ぐらい寝てましたね……。
―― そういう、自身の経験を本にするつもりは?
犬山:自分のことは言いません(笑)。自分の悲惨な話なんて書いたら、それこそ本当にもてなくなりますから!―― そんなにも、もてたいんですか(笑)。
犬山:もてたいっすよ!3年間もいないんですよ!―― それはその、たくさんの人から告白されるような?
犬山:いえ、自分が好きな人にもてたいです。余計な人には別にもてなくても……いやいま強がりました。余計な人にもモテたいですけど、基本は好きな人に好きになってほしいですね。そもそも、私も年をとるにつれ惚れにくくなってしまって。だからまずは好きな人をつくるところからスタートなんですよね。―― 好みのタイプはあるんですか。
犬山:そうですね……ダサい人。ダサくて、童貞を捨てたのが10代じゃない、20代の人。童貞マインドと言ったらいいんでしょうか、あれが強い人ほど話が面白いと思うんです。私、根暗な人が好きなんですけど、童貞だった時のコンプレックスって、バネになってると思うんですよ。そしてそれをなんらかの作品に昇華できてる人だと、なぜかキュンとくるんですよね。―― ルックスは?
犬山:まったくないですね。見た目で惚れることがないので、飲み会や合コンで会ったりしてもダメですね。あー、でも大人しそうな、根暗そうな感じだとグイグイ話しかけちゃう、というのはあります。―― その方向性、いままでまったくブレはないんですか。
犬山:ありますよ! 20歳ぐらいまでは本当、馬鹿なんで、顔がいいとかおしゃれとか、そういうので簡単に好きになってました。でも経験を積んでくると、全員が全員じゃないですけど、どうやらイケメンは話が面白くないなと。別に男の子とファッションやインテリアの話なんてしたくないんですよ。それよりFF(ファイナルファンタジー)の攻略方法とか、そういう話がしたいんです!●「女はモテたきゃ太れ」「男は美女を狙え」―― モデルやアイドルなど、出てくる女性はいわゆる“美女”が多いですよね。世の男性達はみんな、そういう女性と知り合いたいと思うはずなんですが、どこでそういう出会いがあるんですか。
犬山:うーん、芋づる式ですかね。最初に顔の広いかわいい子と仲良くなって。その子とはたまたま知り合ったんですけど、フィーリングがあって。それで、その子の友達や知り合いと遊んでるうちに自然に仲良くなりました。美人の友達は美人という感じで。
―― その“美人”達にはほとんど彼氏がないということですが、それは本当なんですか?編:僕も気になっていたんです(笑)。本に出てるのは負けてる人ですけど、勝ってる人もいるんですよね?
犬山:私の友達はほとんどアラサーなんですけど、ほぼ全員結婚してないですよ。彼氏も居ないです。アラサーなのにほぼ全員て……凄くないですか?編:全員て何人ぐらいなんですか?
犬山:うーん、30人ぐらいですかね。なかには“勝ってる”人もいるんですけど、本当にド美人な子で結婚してる人はいないです。なんといういか、法則みたいなものがあるんですけど、都内に居る美人で、痩せてる子、痩せてるというかスタイルいい子。これはほとんど負けてますね。編:勝ち負けの基準は、どこなんですか?
犬山:彼氏がいるかいないかっす!いま幸せな恋愛をしているか。不倫はカウントしないです。浮気相手とか。DV男もダメ。でもね、最近気付いたんですけど、少しぽっちゃりすると上手くいくんです。幸せ掴むんですよ!元が可愛い子がスキをつくるとしたら、もう太るくらいしかないんじゃないかと思うんですよ。―― では犬山さんが“負け美女”に話を聞いてきて、こうすればモテる!という結論があれば教えて下さい。
犬山:女性に関しては、「モテたきゃ太れ!!」です。これしかない。男性は、そうですね……「実は美女は超ねらい目!!」ですね。美女だから性格が曲がってるなんてことはないし、純粋な人が多いんですよ。清純より美女が狙い目。どんどんコクって下さい!―― 今日はありがとうございました。
人当たりもよく、話しやすい。一見、“男”には不自由していないように見える犬山さんだが、それだけに“モテ”への執着は、人並みならぬものがあるのかもしれない。犬山さんは現在も、“負け美女”ネタをブログで更新中。犬山紙子のイラストエッセイ 柴犬の素晴らしさ
http://corokkecorokke.at.webry.info/
単行本、「負け美女 ルックスが仇になる」は現在、書店やAmazonなどで発売中。