アジアカップのグループリーグ第3戦が17日に行われ、日本がサウジアラビアに5−0で大勝した。拍子抜けとはまさにこのことだ。サウジアラビアがまさかあそこまで試合を捨ててくるとは予想していなかった。

アジアカップという名誉ある大会で、選手たちにもプライドがあるはずだが、ふてくされているかのような態度で試合に臨んでいたのは残念だね。試合終盤、ボールを奪ったのに前へ運ぶ姿勢を見せず、意味のないバックパスをしていたことが、彼らのモチベーションの低さを物語っていた。シリアと激闘を繰り広げ、2位通過を決めたヨルダンから見れば、“八百長”だと騒ぎたくなるレベルじゃないかな。サウジにプライドはなかったということだろうか。まったく残念だよ。

グループ1位通過を狙った日本にとっては、もってこいのチャンスであり、日本はそのチャンスを完全に生かしたことになる。しかし次のカタール戦を見据えるという意味では、サウジとの試合が弛緩したものだったことが、悪い方向に転ぶ可能性もある。

カタールは球際が激しく、カウンターを虎視眈々と狙ってくるだろう。シリア戦、ヨルダン戦でもわかったとおり、日本にとって最もやりづらいスタイルだ。ホスト国という追い風はすさまじいものがあり、極めて感情的な試合になる。加えてカタールは、W杯招致に成功し、AFC会長選でも勝利(モハメド・ビン・ハマム氏が続投)した。ピッチ内外で非常にたくましい国だ。

もちろん、日本にはカタールを倒すだけの力がある。自分たちの能力を発揮することができるか、まさに緊張の一戦だね。日本にとって今大会のハイライトといえる試合になる。

また、カタール戦、そしてその先の優勝を目指す上で、香川の復調が不可欠なことも付け加えておこう。今の香川は、トップフォームからほど遠いわけではないが、ちょっとずつ歯車がずれてしまっているような印象だね。サウジ戦でも、GKとの1対1のシーンで、GKをかわした後のドリブルが流れてしまった。小さなズレが積み重なって、ゴールから遠ざかっている。戦術的な問題ではないね。香川個人の、精神的な問題が大きいと思うよ。

“違い”を生み出せる選手というのは、多くない。松井はケガで離脱し、本田圭の状態も不透明だ。優勝のカギは香川の復調にあるといっても過言ではないんじゃないかな。(了)