フランスサッカー連盟(FFF)の理事会が23日に開かれ、W杯開催中の不祥事で引責辞任したジャン=ピエール・エスカレット前会長に代わり、フェルナン・デュショソワ氏(67)が新会長(12月までの暫定会長)に選ばれた。

 新会長は、組織の抜本的な改革に取り組むことになるが、加えて重要な課題はW杯で失墜したフランス代表のイメージを改善すること。イメージ失墜は何よりスポンサー収入に直接のダメージを与えるからだ。

 すでに大会の開催中には、監督に暴言を吐いたアネルカの追放、選手たちの練習ボイコットを受け、メインスポンサーのひとつであるクレディ・アグリコル(銀行)が、選手出演のテレビCMスポットを早々に打ち切り、他の3社も練習着からロゴを外すよう申し入れていた。

 中でもクレディ・アグリコルの広告メッセージが「レ・ブルー(フランス代表の愛称)を応援します」から「サッカーを応援します」に差し替えられていたのは象徴的だ。

 23日にはル・フィガロ紙などが、フランス代表にユニフォームを提供しているアディダスがFFFに1000万ユーロ(約11億3000万円)の賠償金を要求していると報じた。これが事実なら、この額はほぼ1年分のスポンサー契約料(約14億7000万円)に相当する。ちなみに、W杯での人気低下でフランス代表ユニフォームの売れ残りは18万着におよぶとされる。

 ただし、理事会開催後の記者会見でデュショソワ会長は、各スポンサーから要求されている額は合わせて「100万ユーロ(約1億1300万円)を少し上回る程度」と報道を否定し、「円満に話し合いを進めている」ことを強調した。

 なお、FFFはすでに、来年からユニフォームの契約先をアディダスからナイキに鞍替えすることを決めている。アディダスは1972年以来フランス代表にユニフォームを提供してきたが、3倍強にあたる年間4200万ユーロ(約47億5000万円)の契約料(2018年まで)を提示したナイキに“得意先”を奪われた。これに“恨み”を抱くアディダスを相手にFFFの話し合いが「円満」に進むかどうかは疑問だ。