「サブウェイ123 激突」
 日々多くの人々が利用する地下鉄。あなたはその地下鉄の安全がどのようにして守られているのかご存知だろうか? 9月4日に公開される映画「サブウェイ123 激突」は、ニューヨークを走る地下鉄の1車両をハイジャックし、乗客たちを人質に取った犯人と、身代金要求の無線連絡を受けた地下鉄職員の頭脳の“激突”が見所のリアル・サスペンス。日頃乗客を乗せている地下鉄車両と、地下鉄の安全を守る運行指令室は一転して交渉の場に変わり、緊迫した状況の数々に観客は思わず手に汗握ってしまう。

 ここ日本の首都・東京もニューヨークと同じく、地下鉄がとても発展した都市であり、東京メトロの路線を全てつなぐと195.1kmもの長さに達するという。これらの路線を走る電車は平日で約5,500本、走行距離にして約100,000kmにも及び、これは地球2周分にも匹敵するというから驚きだ。利用する乗客が1日平均636万人にものぼる巨大な交通施設・地下鉄の安全は実際どのように守られているのだろうか? そこには私達が知らない、地下鉄の安全を見守る秘密基地「総合指令所」の働きが大きく関係しているのである。

 「総合指令所」には、日々走行する多くの電車の安全を守る為に総勢100名の専門指令員が常駐している。システムは最新の物を導入し、電車の運行だけでなく、電力、車両、施設といった電車を動かす為の全てを管理する、いわば電車の“ブレーン”。「サブウェイ123 激突」と同じように、何かトラブルが発生した場合、指令所にある監視モニターへ瞬時に警報が発せられる為、迅速な対応が可能となっている。ここ最近、台風や地震による被害のニュースが世間を騒がせているが、「総合指令所」は気象庁からも常時情報を収集し、「ユレダス」という早期自身検知警報システムが地震を感知する為、いちはやく状況を知ることができるのだ。車両の検査に至っても、10日に1回行う「列車検査」、3ヶ月に1回行う「月検査」、8年に1度行われる「全般検査」と段階を踏んで見えない所までしっかりと行っている。また、機械化される部分が進んでも、ひび割れが無いかハンマーで叩いたり、機器が熱を持ってないか手で触って判断するなど最終的には“人の手”が安全を支えているのである。

 そんな、様々な工夫が凝らされた地下鉄車両だが、実は日本での活動を終えた後も海外で活躍するケースが現れている。例えば1995年に旧丸の内線の車体は今でも遠く離れたアルゼンチンで「赤いB線」として今でも親しまれている。これは、丸ノ内線が集電にパンタグラフを利用しないサードレール方式を利用しており、郊外鉄道との直通運転もしていないという他と異なる特殊な路線であることが、アルゼンチン側の条件と一致。営団地下鉄が地下鉄の売却を発表した際に、譲渡の希望を受け実現した事だ。日本では役目を果たし、古くなってしまった車両だが、他国の人々には新品に間違われるほど美しく感じられたという。その他にも元都営三田線の車両、東急8000系、103系がインドネシアに、名鉄のディーゼルカーがミャンマーで活躍しているなど、日本製の地下鉄はまさに大人気なのである。

 これは、安全・正確な運行の為に人々が24時間体制で整備しているからこその結果であると言えるが、実は映画「サブウェイ123 激突」の中にも日本の地下鉄について触れられている箇所があるのだ。ニューヨークの地下鉄をジャックした犯人から、交渉相手として指名された地下鉄職員のガーバー。“偶然”受けた電話のはずが、犯人が自分に執拗にこだわる様子から、事件の真相を探り当てようと奔走する。「なぜ自分が交渉相手なのか?」その答えのキーとなる出来事に日本の地下鉄車両が登場しているので注意深く鑑賞して欲しい。普段何気無く乗っている地下鉄には、私達が未だ知らない技術があり、工夫があり、謎がある。今回紹介した物は地下鉄を知る上の一部に過ぎないが、「サブウェイ123 激突」はあなたの頭脳をフル回転させること必至である。

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映画「サブウェイ123 激突」特集

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