高速道路一律千円と、五千円の助成金を追い風にものすごい勢いで売れているETCであるが、全国的にほぼ完売で、入庫待ちとなっている。その売れ行きたるもの当初予測の十万台だったが、それどころではなく、その十倍の百万台に達すると見込まれている。その現実を背景に、ある悲劇が・・・。


そもそも当初予測の十万台とは誰が予測したのかと思うくらいの売れ行きである。ETCの在庫が底をつき、入庫を待っても、3月末の助成期間内にセットアップという登録を済ませないと助成の対象とならない。予想通り助成期間の延長は発表されて一安心であるが、この異常なまでの売れ行きは、国の目論見である景気対策の枠をはるかに超え、想定外である。想定外にはまた想定外が起こるものであって、これによってある光景が目に浮かぶ・・・

年末年始やゴールデンウィークなどは高速道路の料金所は大変な渋滞となる。しかしETCが搭載された車両は、それを横目にスイスイとゲートを通過して行く。うらやましく思うが、高速道路を使うのは、年に1度か2度という思いで料金所で現金を支払う順番を待っていた。しかしそう思っていた多くの人が、今しかないと、一気にETCを購入している。

そこで、高速道路の料金所を思い出してほしい。現金で支払う料金所とETCレーンの数である都市部はそうでもないかもしれないが、多くは、現金の料金所が2〜3レーンあり、ETCのレーンは1レーンのみなど、ETCレーンの方が少ないのである。これにより何が起こりうるか・・・そう、ETCレーンがどこまでスムーズに流れるかである。

今回ETCを購入した多くの人は、せっかく付けたのだからと旅行の計画を練っているに違いない。
子供たちが春休み期間中に突入する3月末あたりの週末は非常に心配である。
渋滞するETCレーンを横目に、料金所で現金を払う車が先を行く光景など想像したくはないが、無きにしも非ずである。
また、3月末にそのような現象が起こったら、これはまずいと、レーンの比率の変更を考えるのは当然である。そのためには工事が必要なのは当然であるが、急げ急げと工事に取り掛かり、ゴールデンウィークに貴重なレーンの工事中のためにレーン数が減るなんて事態だけは避けてほしいものであるが、そんな光景すら目に浮かんでしまう。
(編集部:”自動車魂世界一”car journalist 木下)

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