サブプライムローンを発端にした金融危機から日本の景気も夏以降に一気に冷え込み、企業の派遣社員切りが問題となってきましたが、さらに新卒学生企業の内定取消しにまで影を落としてきました。

経営悪化を理由に内定取消しをした企業側では、学生に補償金を提示するなど社会問題にも発展しています。

内定取り消し学生に100万円を提示 日本綜合地所 - 朝日新聞

■内定は法律で保護されている
内定とは、学生が卒業後をスタート(始期)とした労働契約となります。始期付解約権留保付労働契約という労働契約の一つです。

解約権留保付というところが、内定取消しの権利ということになりますが、内定は法的に労働契約が成立していると判断されるため、内定取り消しは「労働契約の解消」となり労働法上の問題が発生します。

したがって、内定取消しは、一般の解雇と同じ扱いとなり、正当な理由がなくては内定取消しはできないことになり、正当な理由と認められない内定取消しは無効となります。

■内定は通知だけでは労働契約が成立したといえない?
内定は注意労働契約の締結を意味しますが、通知だけでは労働契約が成立したとはみなされないことがあるそうです。入社日の通知、必要書類提出の要求されたなど、企業側が採用意思を明確に示すことで労働契約が成立したとみなされるようです。

ちなみに内定決定後の研修などは、労働とみなされるため、入社前でも賃金が発生します。

■内定取消しの是非
今回の内定取消し問題は、現在の金融不安からの景気後退により企業側の経営が悪化が理由です。
では、経営が悪化していても、内定者を入社させながらリストラなども行うという状況を選択するのが経営者として最良の選択なのかという意見もあります。

企業としても法的に問題がある内定取消しを簡単に選択することはあり得ません。倒産や現在の人員削減、倒産といった危機がなければ、社会的にもダメージを受ける内定取消しはできないと見る業界関係者も多くいるようです。

とはいえ、内定取消しは解雇と同じ意味ですから、実際に入社し業務の成果を評価されずに機会を奪われたことは、当事者の学生には納得できないともいえます。

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