今クール土8ドラマ、「ブラッディ・マンディ」。主演の三浦春馬の目新しさで、不気味な原作漫画の世界をなんとか「24」風のパニック物として成立さたTBS。今、日本ドラマ界では、米ドラマのパクリが大流行だ。タイトルロゴや登場人物のキャラクターだけを“雰囲気的”になぞっただけのドラマの作りに米ドラマファンは納得できるのか。パクリ事情を考える。

同じTBSの日曜劇場。鈴木京香主演の「SCANDAL(スキャンダル)」は、「デスパレードな妻たち」と、「Lの世界」とを継ぎ合わせたような主婦ドラマだ。「セレブ妻の昼下がり」的な話は、日曜の夜に合わない。金曜の夜10時代が妥当な枠だろう。主要人物の鈴木京香、桃井かおり、長谷川京子、吹石一恵のキャストは、本家の「デスパ」や、「Lの〜」ような、“赤裸々な性”を期待できず、“スキャンダル”を臭わせる要素もあまりない。ハデな衣装で4人を並ばせ「セックス・アンド・ザ・シティ」のように演出するあたり、どこまでも人気米ドラマをパクル気満々である。

前クールの「コードブルー」も、ガッキーや、山ピーの髪型、救急医のユニフォームは、米ドラマ「グレイズ・アナトミー」をパクッていたが、「グレイズ〜」の見所の一つ、ドロドロとした恋愛地獄は一描かれず、若い彼らは、医者に見えない。ただ爽やかな医療ドラマに、「グレイズ〜」ファンの期待は裏切られた。韓国ドラマの「魔王」や「猟奇的な彼女」のようなリメイクでは無く、あくまでもパクリなので、濃いストーリー展開は期待しないでください。ということか。

木村拓哉主演の「HERO」にいたっては、当事アメリカで放送中だった、「アリー・マイラブ」や「ザ・プラクティス」(二つは同じ脚本家による作品。)の持つリアルな法廷ドラマを期待するも、そのテンポの悪い展開にイライラさせられた。「交渉人」なども同様の出来だ。

米ドラマ人気シリーズは、何クールに渡り制作され、その登場人物を取り巻く環境もドンドン変化していく。ハリウッド映画と同じように、何十人もの脚本家が係わり、密度の濃いストーリーを毎回練って練って練りまくって作っている。法廷物、医療もの共に、そのリアルな物語、特撮にいたるまで、予算のかけ方も日本のドラマとは比べ物にならない。1クール全部同じ脚本家がストーリーやセリフを考えていく日本のドラマとは、作り方自体が違うのだ。また、人種差別や実際の戦争、複雑な社会構造もアメリカのドラマ・ストーリーを盛り上げている。

何クールにも渡り放送され、1話ごとエピソード形式で展開する、米ドラマ風の構造を持つドラマが日本にも一つだけある。それは「渡る世間は鬼ばかり」だ。登場人物が成長し、環境が変化していく過程が、他の日本のドラマと違う。橋田壽賀子恐るべし。なのである。

次は成海璃子あたりで、和製「アグリーベティー」か、阿部寛か豊川悦司で、日本版「Dr.HOUSE」が制作されるのか。「ヴェロニカ・マーズ」あたりも狙われている。
年間4本のドラマ枠を週何本も放送する、テレビ局も、米ドラマや韓国ドラマのネタをパクれば、まだまだ量産できるのである。

(編集部:空野ひこうき)

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