木村選手はボールに小さな祈りをこめた (Photo by T.Ebisu)

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 高橋みゆき選手のフェイントが相手のコートに落ちた。北京への切符をつかんだ最後の攻撃はどこかあっけなく、高橋の周りに集まった選手たちもチョット照れくさそうに勝利を称えていた。

「これでやっと北京のスタートラインに立ちました」

 竹下キャプテンの言葉に象徴されるように、4年前のような“五輪の切符”獲得の瞬間の派手さも歓喜の涙もなく、これで最高の舞台に“もう1度上がれる”という安堵感が選手たちに感じられた。アテネで悔しい思いをした選手が、今のチームの中に半分以上いる中で、オリンピックに出るだけではもう意味がない、“メダルを目指すんだ”という思いが強くなっている。それだけに、今回の世界最終予選はあくまで通過点。選手たちは、その先を見据えていた。

 今大会も決して楽な試合は1つもない。突然崩れたり、セットを落としたり試合も多い。そういった点では、各選手が「課題がまだまだ多い」と反省の弁を口にする。エースの栗原選手も「1つ1つの試合に課題が見えてくるので、毎回1つずつ学んでいる。それを次につなげていきたい」と言えば、竹下キャプテンも、「今回のチームはモチベーションが高く、1人1人が役割を持ち、引かない気持ちで試合に臨んでいる。精神的にも技術的にもいいと思う」とチームとしての成長に手ごたえを感じている。

 まずは、残りの2試合に全てをぶつけ、最高の形で次へのステップに入っていけるよう結果を残して欲しいと思う。

(text/photo T.Ebisu)



五輪最終予選女子・第5日
日本 3−1 韓国
(25-20,25-19,21-25,25-13)

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