HD-PLC規格の"PLCアダプター"

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PLC(Power Line Communications)は、家庭用の電気配線(コンセント)を利用してネットワークを構築し、インターネットや大容量データの転送を可能にする次世代ネットワークだ。設置や設定が簡単で無線LANが届きにくい離れた場所でも簡単にネットワークを構築できる。IEEE802.11a/b/g規格の無線LANに比べて通信速度も高速なことから、無線LANに代わる家庭向けのネットワークとして注目が集まっている。

現在、PLCの規格は、「HD-PLC」、「HomePlug」、「UPA」の3種類が存在し、これらの規格を採用したPLCアダプターは家電量販店やパソコンショップで簡単に入手できる。規格の異なるPLCアダプター同士では通信はできないが、同じ規格であれば、他社製のPLCアダプターと接続することもできる。

第一回は、HD-PLC規格に準拠したアイ・オー・データ機器製"PLCアダプター スターターパック"(親機&子機セットモデル)をみてみよう。
写真:HD-PLC規格の"PLCアダプター"

PLCの通信速度は、実測値でどれぐらいだろうか。自宅とオフィスで測定してみた。

■"PLCアダプター"の特徴と機能

アイ・オー・データ機器の"PLCアダプター"は、本体サイズが約121幅×奥行き40×高さ70mm、重さが約240g(本体のみ)。コンパクトな手のひらサイズで、小型軽量が特徴だ。HD-PLCは、松下電器産業が提唱する高速電力線通信方式で、理論値で最大190Mbpsの通信が可能とされている。本製品は、子機のセットアップボタンを約1秒間押すだけで、ランプの点灯状態により、およその通信速度を測定できる。
写真:およその通信速度を測定できる

表1.ランプの点灯と通信速度の関係
ランプの点灯通信速度速度
0個-不明
1個10Mbps高速
2個10M〜30Mbps超高速
3個30Mbps超超高速


"PLCアダプター"は、一般に"親機"と"子機"の2種類があり、本製品は背面のモード切り替えスイッチで、"親機"と"子機"とを切り替えられる。ルーター付きモデム側に"親機"、パソコン側に"子機"を接続して、"親機"のセットアップボタンを押して5秒以内に"子機"のセットアップボタンを押して設定する。

今回使用した"PLCアダプター スターターパック"のセットアップは、、"PLCアダプター"の初期登録設定や暗号化が出荷時に設定済みなので、ルーター付きモデムに"親機"を、パソコンに"子機"を接続して、"PLCアダプター"のACケーブルをコンセントに挿すだけですぐに使用できる。コンセントからPLCアダプターを外しても設定は保存されるので、別の部屋で使用したい際も部屋のコンセントに子機を繋げるだけで利用できる。
写真:背面のモード切り替えスイッチで、"親機"と"子機"とを切り替えられる

本製品は、最大16台までのアダプターを接続できるので、リビングや子供の部屋など、複数の部屋でインターネットに接続したい場合には、必要な部屋の数だけ"子機"を購入すればよい。
写真:"PLCアダプター スターターパック"の化粧箱

ネットワーク接続で一番気になる点は、外部からの不正アクセスを防ぐセキュリティだ。本製品は、現在もっともレベルの高いと言われる強固な暗号方式「AES(Advanced Encryption Standard)128ビット」を採用しているうえ、暗号化設定が必ず行われるため、個人情報が不正侵入により流出したり、インターネットにタダ乗りされたりする心配はない。接続していた子機を紛失した場合でも、残っている親機と子機を初期化後に再登録し直せば、紛失した子機は接続できなくなるので、セキュリティは確保される。

■測定値・実際の速度チェック

今回は、オフィスと一般家庭でテストしてみた。
テストさせていただいた家庭の環境は、USENの"GyaO光 ホームタイプ"を契約。2階に光ファイバーを引き込み、光モデムで100BASE-Tのイーサーネットに変換後、IEEE802.11a/g対応の無線LANルーターを通して使用している。通信速度は、理論値で上り下り最大100Mbpsだが、実測値は80Mbps前後。使用したコンセントは、2階と1階のリビング。

表2.測定値での通信速度
測定場所1回目2回目3回目4回目
2階の洗面所22.02Mbps22.02Mbps22.59Mbps21.76Mbps
1階の和室14.19Mbps14.04Mbps13.82Mbps14.04Mbps
1階のリビング12.12Mbps12.29Mbps12.29Mbps12.12Mbps
となりの机24.81Mbps25.14Mbps24.81Mbps24.44Mbps
うしろの机5.27Mbps5.13Mbps5.21Mbps5.33Mbps


表2を見れば明らかだが、2階で22Mbps以上、1階のリビング"で12Mbps以上の通信速度が確保されており、実際に快適なWebブラウズを楽しめた。
写真:"1階の和室"でインターネットに接続

オフィスでは、デスクから離れた場所にある給湯室や会議室などでも接続を試みたが、建物内の電気配線が異なるためか、まったく接続ができなかった。したがって、隣接するデスクで測定した。
"となりのデスク"で24Mbps以上の通信速度が確保できたものの、"うしろのデスク"ではおよそ5Mbpsと、極端に遅い結果と、電気配線に大きく依存しているようだ。

試しに、ACタップのタコ足配線による通信速度のロスを検証してみたところ、親機の接続元は、通信速度が80Mbps前後だが、同一タップ上で29Mbps前後に落ち込み、"親機"と"子機"の間にACタップをもうひとつ挟むと、25〜26Mbpsという具合に通信速度が遅くなった。"PLCアダプター"は、配線に依存してしているようだ。

表3.ACタップを追加した場合の通信速度
測定場所1回目2回目3回目4回目
同一ACタップ29.27Mbps29.27Mbps29.27Mbps28.79Mbps
ACタップ追加25.14Mbps25.87Mbps25.14Mbps26.26Mbps


"通信速度が5Mbps"と聞くと、遅く感じる人もいるかもしれないが、動画を配置したホームページを閲覧する場合でも、体感的にストレスを感じることはなかった。"PLCアダプター"は、電気配線に依存するのは確かだが、手軽に高速なインターネットを楽しめる点で、大きな魅力がある。建物の構造上の問題で、無線LANの電波が届きにくい部屋でインターネットを使用している人は、"PLCアダプター"を導入することで、高速なインターネット環境を構築できるかもしれない。

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編集部:関口 哲司
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