ニッポン放送株のインサイダー取引事件で、証券取引法違反(インサイダー取引)の罪に問われた「村上ファンド」前代表、村上世彰被告らの第7回公判が24日、東京地裁(高麗邦彦裁判長)で開かれた。証人として出廷した金融機関「クレディ・スイス」元関係者は、ライブドア(LD)が同放送株買い集めの資金調達にあまり積極的でなかったと指摘。実現可能性に懐疑的だったと明らかにした。

 元関係者は、村上被告が同放送の大量取得をLD側に持ちかけた2004年9月15日、元取締役、宮内亮治被告=同罪で公判中=らと面会し、融資を依頼された。この時はLD側の熱意を感じたものの、1週間後に再び面会しても返済プランを考えていなかったという。その後1カ月間、LD側から催促もなかったため、元関係者の方から「何もしなくていいんですか」と問い合わせる状況だったと証言した。

 同年11月にLDがプロ野球参入に失敗した際には、LD幹部が「よかった」と喜んでいたり、社内から拍手が起こったと聞いたことから、元関係者は話題づくりが目的の「なんちゃってディール」(見せかけの取引話の意?)に巻き込まれたくないという気持ちになったと話した。

 検察側は冒頭陳述などで、村上被告が同年11月8日に行われた村上ファンド・LDのトップ会談で、LD側から同放送株を大量に買い集めるとの決定の伝達を受けたと主張している。宮内被告もこれまでの公判で、11月の会談で村上被告に「資金のメドが立ったので、具体的に話を進めさせて下さい」「クレディもノリノリなんで、大丈夫です」と伝えたと証言していた。

 次回公判は30日に開かれる予定。【了】

■関連記事
LD子会社元幹部に直接尋問
元LDF中村被告に反対尋問
村上被告、連日の直接尋問