ニッポン放送株のインサイダー取引事件で、証券取引法違反(インサイダー取引)の罪に問われた「村上ファンド」前代表、村上世彰被告らの第6回公判が23日、東京地裁(高麗邦彦裁判長)で開かれた。村上ファンドとの交渉で、ライブドア(LD)側の窓口を務めたライブドア・ファイナンス元シニアマネージャーの男性に対する反対尋問が行われ、村上被告も自ら質問に立った。

 質問の中で、村上被告は「2005年1月末に(LDの担当者が)私のところに来て、私は(ニッポン放送の経営権取得の方法を)手取り足取り教えたつもりだ」と発言。その上で「(LD側は)その前にストラクチャー(経営権取得の仕組み)を検討したことがあるか。一体何をやっていたのか」と厳しく追及した。男性が「TOBのスケジュール」と答えると、村上被告は「それがストラクチャーか。分かった」と突き放すように言った。

 また、LDはニッポン放送株の大量取得のためには、村上ファンドから株主を紹介してもらう必要を認識していたが、村上被告が「事実として、ここ(ニッポン放送)の株主を紹介してくれと言ったのはいつか」と迫ると、男性は「明確な時期は分からないが、(05年の)年明け過ぎてから」と証言した。

 検察側が04年11月に行われた村上ファンド・LDのトップ会談をインサイダー情報の発生としている点については、弁護側は、男性が村上ファンドの知り合いとの会話の中で「検察庁は日本最大のクリエーター集団」と皮肉ったと指摘したが、男性は「今、私は事実を確認できない」として、明確な答えを示さなかった。

 一方で、男性はそのトップ会談の際、LD元社長の堀江貴文被告=同罪で公判中=がTOBについて初歩的な質問を繰り返したため、あきれてしまった村上ファンド側の担当者に男性が謝罪したことを認めた。さらに男性は「上(幹部)がとっぴなことを言っても、排除しないのがLDの数少ないいいところ」と語り、実務担当者として苦労していたことをにじませた。

 次回公判は24日。外資系金融機関役員への証人尋問が行われる。【了】

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