仕事というものは、古来から辛くて面倒くさいものだ、と相場は決まっている。働かないで暮らせるとしたらどれほど楽なことか。毎日の仕事のことを考えると憂鬱になるが、昼休みの1時間だけは、僕らは辛い仕事から解放され、思い思いの行動を取れる。しかし、そんな昼休みを充分に楽しめない人々が最近増えているというのだ。

 最近巷で耳にする機会が多くなった「ランチメイト症候群」(ランチタイム症候群)とは、学校や職場において、一人で食事をすることが寂しくて食事がつらくて仕方ない、もしくは、一人で食事をしているところを同僚に見られると「あいつは友達が居ないんじゃないだろうか?」と周囲に思われるということを極端に恐れたりすることを指すようだ。また、この逆で、職場の暗黙の了解によって、ランチを常に職場の皆で一緒に食べなければいけない場合があり、昼休みぐらい一人でのんびりしたいのに職場の人間関係が壊れることを恐れて断れない、という場合もあるようだ。

 このように、何らかの事情で昼休みの食事の時間が億劫になることをランチメイト症候群と呼ぶ。精神科医の町沢静夫さんによって名付けられた精神症状の一つで、これがエスカレートすると、トイレなどで隠れて食事を行うようになったり、最終的には仕事を辞めたりするケースもあるようだ。

 ライブドアリサーチを利用して約3900人の方にアンケートに協力してもらったところ、『ランチを一人で食べることに抵抗がありますか?』という問いに対し『抵抗がある』と回答したのは21%、『特に気にしていない』が54%、『ひとりのほうが気楽』が20%という結果が出た。特に気にしていないという人が過半数を超えた反面、5人に1人はランチを一人で食べることに抵抗がある、と回答している。

 僕としては『ひとりのほうが気楽』に一票入れたい。仕事につきまとう人間関係の難しさから解放される唯一の時間がランチタイムであるのだし、気心しれた同僚ならともかく、無理して話を合わせるぐらいなら一人でご飯を食べるほうが良いのではないだろうか? また、本来は休憩時間は一人になりたがっている人を、無理やり誘って皆で一緒に食べることもないだろう。

 ちなみにランチを一人で食べることに抵抗があると答えたのは、男性は年齢を問わず15%前後であるのに対し、女性は年齢を問わず30%近くにのぼるようだ。この数字から女性が特にランチメイト症候群に陥りやすい傾向があることが垣間見られる。女性の皆さん! 勇気を持って一人でご飯を食べてみて!!(梅田カズヒコ/verb)

■関連リンク
ランチメイト症候群 - 文中で参考にしたフリー百科事典「Wikipedia」のWebサイト