提供:週刊実話

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 平成もいよいよ残りわずかとなって、全国各地で「平成最後の〜」と銘打ったイベントがめじろ押しだが、中でも注目を集めているのが、平成最後の城郭建築、兵庫県尼崎市の「尼崎城再建プロジェクト」だ。

 尼崎城は、江戸時代の初期に当時の尼崎藩主・戸田氏鉄が築城。長く藩政の中心になったが、明治6年の「廃城令」によって取り壊され、現在、その跡地は公園として整備されている。

 ここに「お城復活」の話が持ち上がったのは平成27年(2016年)のこと。大手家電量販店『ミドリ電化』(現エディオン)の創業者・安保詮氏が「創業の地、尼崎になんとか恩返しをしたい」と、私財10億円以上を投じて“築城”し、完成後は尼崎市に寄贈することを発表したのだ。

 尼崎市もこの申し入れを快諾。計画はトントン拍子に進み、昨年秋には、阪神電車尼崎駅南東の城跡公園に、高さ約24メートルの四重の天守閣が姿を現した。

 城内には江戸時代のコスプレが体験できる施設や多目的スペース、資料館等が設けられ、最上部は展望室、文字通りの天守閣になる。

 尼崎といえば、近松門左衛門の故郷として知られているが、最近は公害や福知山線事故、さらには阪神間の下町といったネガティブなイメージが先行しがち。イメージチェンジの意味でも期待は大きく、「ジョーのある町、尼崎」のキャッチフレーズで様々な開城イベントが企画されている。

 「天守閣を仰ぐのは、やっぱり気分がいい。これを機に、尼崎は歴史と文化の街であるということを1人でも多くの人に知ってもらいたい」(尼崎市の職員)

 一方、建築費が個人の拠出であるだけに、一部からは「売名行為」「エディオン城」といった批判の声も。

 「今は開城ということで話題ですが、今後の維持管理を考えれば、喜んでばかりもいられないと思うのですが…」(某市議会議員)

 地元活性化につながる大チャンス、素直に喜べば?