俳優で、「電気グルーヴ」メンバーのピエール瀧容疑者が3月12日、コカインを使用したとして、麻薬取締法違反の容疑で関東信越厚生局麻薬取締部に逮捕された。【関連記事】「ピエール瀧の逮捕でモーリー・ロバートソン、海外コカイン事情を解説『不幸の連鎖で流通が成り立つ。人道的にも人を苦しめる』」

瀧容疑者は現在、NHKの大河ドラマ「いだてん」に出演している。中村勘九郎さん演じる主人公「金栗四三」を支える足袋屋「播磨屋」の店主という役どころで、NHK広報部は逮捕報道を受け対応を検討しているという。CM出演中だったリクシルでは、13日からCMの放送を中止。瀧容疑者が登場するネット上のコンテンツも削除するなど、影響は各方面に広がっている。

芸能文化評論家の肥留間正明さんは今回の逮捕について「一言で言うと、馬鹿だねえ51歳にもなって。大馬鹿としか言い様がない」と呆れている。

高額な違約金は「実際は請求しても相手方が払えず、泣き寝入りするケースがほとんど」


「歌手だったらレコードを出さないとかで済みますが、俳優というのは集団で1つの作品、番組を作っていくもの。そのうちの1人が問題を起こしたがために多くの人に迷惑がかかる」

直近では、俳優の新井浩文さんが強制性交容疑で逮捕され、主演映画「善悪の屑」が公開中止になった。こうした影響の大きさを知りながら薬物に手を出していたことに、憤りを感じているようだ。

田代まさしさんや井上陽水さん、研ナオコさんなど、これまでも多くの芸能人が薬物の使用で逮捕されている。こうした例から肥留間さんは、「芸能界は薬に対する意識が低い」と指摘する。

「今回の件は見せしめの意味でも、絶対許さず、芸能界から永久追放したほうが良いと思っている。中国など、薬物利用で死刑になる国もあります。それと比べたら優しいものです」

肥留間さんによると、大河ドラマの製作には1作品あたり1億円ほどの費用がかかるという。NHKは損害賠償として、瀧容疑者に全額請求することも出来るというが「やらないでしょうね」と推測する。CMも同様で、「CMなんかは最近、契約時に出演者も『何かあったら全額支払います』とサインしているようです。でも実際は請求しても相手方が払えず、泣き寝入りするケースがほとんど」だという。「それよりも芸能活動を全てダメにするほうが、彼にとって良いと思います」と、芸能界からの引退を促した。

過去出演作品がお蔵入り「そこまで厳しくする必要があるのか?」

もし復帰を望むのであれば、テレビではなく、舞台や音楽活動などから1つ1つ積み上げていくしかないのではという見方だった。薬物使用で失った名声や信頼を再び取り戻すのは容易ではない。「本当に実力があるか、逆に問われるでしょうね」と指摘していた。

芸能人が逮捕されると、出演していた過去の作品がお蔵入りしてしまう傾向がある。これについては、商品や企業イメージが重要なCMが放送できなくなることはまだしも、過去の作品の放送や販売を自粛する傾向に、「そこまで厳しくする必要はあるのか」と問うた。