JALが国際線のプレミアムエコノミークラスとエコノミークラスで提供するワインを発表。マスターオブワインの大橋健一さんとワインテイスターの大越基裕さんが、フランスのワインメーカーと共同で造り上げたオリジナルです。

オリジナルワインの名称は「DOUBLE "O"(ダブルオー)」

 JAL(日本航空)は2018年6月26日(火)、国際線のプレミアムエコノミークラスとエコノミークラスで提供するオリジナルワインを発表しました。

 ワインは、MW(マスターオブワイン)の大橋健一さんと、JALワインアドバイザーで、ワインテイスターの大越基裕さんがJALのために造り上げたオリジナルです。


JALがオリジナルワインを発表(2018年6月26日、宮崎佳代子撮影)

 JALはファーストやビジネスクラスで、ワインをフルボトルでサービスしていますが、プレミアムエコノミーやエコノミークラスでは、6オンス(約180ml)のボトルを提供しています。その数は年間10万本以上で、高品質のワイン提供が量的にもコスト的にも難しい状況にあったといいます。「それならば、オリジナルで美味しいワインを造ってしまおうと思ったのが今回のワインの発端です」と、JALの執行役員 路線統括本部商品・サービス企画本部長の佐藤靖之さんがいきさつを語ります。

 オリジナルワインの名前は「DOUBLE "O"(ダブルオー)」。由来は大橋さんと大越さんの頭文字「O」とのこと。ボトルのラベルにもふたりの顔が描かれています。赤と白の2種類があり、それぞれフランスの畑で収穫された5種類のブドウをブレンドして造られています。

 MWは、英国に拠点を置くマスターオブワイン協会が認定する、ワイン業界で最も名声の高い資格です。日本人のMWはわずか2人で、大橋さんはこのうちの1人。世界の航空会社ではMWと契約してワインを選定している会社も少ないないそうで、大橋さんは今回のワイン造りに際してこれらの人たちに「機内」という特殊な環境にどういったワインが合うのかを聞き、研究を重ねたと話します。

 そして、共同開発では、機内で提供するプラスチックボトル入りのワインは酸化しやすいため、ボトリングの技術が高く、ハイテクノロジーを使いつつナチュラルに最高峰のワインを醸造することに力を注いでいるポール・サパン社を選んだとのこと。フランスから数多くのブドウ種のワインを送ってもらって飲み比べ、最終的に5種類のブドウを選び、大越さんと共に緻密なまでに配合にこだわったといいます。

5種類のブドウの配合にこだわり

 白ワインのブドウの配合は、グルナッシュ・ブラン56%、マスカット27.5%、ヴェルメンティーノ12%、ヴィオニエ3%、ゲヴェルツトラミネール1.5%。赤ワインは、グルナッシュ・ノワール57%、シラー24%、マルセラン9%、カリニャン5%、マスカット5%です。「機内は騒音があり、研究によると騒音は渋みの成分を助長させる効果があるので、あまり渋みのあるものは向きません。また、乾燥もしていることからライトめで香りが捉えやすいワインを造ろうというなかでこういった配合になりました」と大橋さんは説明します。


JALオリジナルワイン発表会の模様(2018年6月26日、宮崎佳代子撮影)。




 ワインテイスターの大越さんは2015年11月からJALのワインアドバイザーを務めており、ファーストやビジネスクラスのワイン選定にも関わってきました。機内食は肉もあれば魚もあり、和食もあれば洋食もあるという多様性のなかで、食感に重きをおいてマリアージュを考えたと話します。

「機内の食事は柔らかいものが多いので、ワインも同じような食感のものを合わせていくというのは、ペアリングにもマリアージュの世界にも存在します。テクスチャーを合わせるといったところに、寄せていければと思いました。また、ワインは香りを楽しむものでもあり、マスカットは香りのキーにもなっています」(大越さん)

「DOUBLE "O"」は、2018年8月1日(水)からロンドン線とパリ線で提供を開始し、その他の路線にも順次導入していくとしています。また、同ワインは、日仏友好160周年を記念して7月からパリを中心に開催される文化芸術イベント「ジャポニスム2018」の広報企画のひとつにもなっており、ボトルには「ジャポニスム2018」のロゴ入りラベルが期間限定で貼られます。