ソニーのデジタルペーパーシリーズにコンパクトなA5サイズが新登場!

東京ビッグサイトにて5月9日から11日まで開催されていた13のIT関連展示会が合同で開催される国内最大のIT総合イベント「2018 Japan IT week 春」(主催:リードエグジビジョンジャパン)にソニーが出展し、同社のデジタルペーパー(電子ペーパー)シリーズの最新モデルとなるA5サイズの「DPT-CP1」を公開しました。

本製品はすでに販売中のA4サイズの「DPT-RP1」を小型化したもので、DPT-RP1での使いやすさや基本性能はそのままに可搬性を重視したモデルとして併売されるものです。

そこで今回はこの小型化したDPT-CP1について実際にタッチ&トライした模様を写真を交えて紹介します。なお、発売は6月上旬を予定し、価格はオープンながら公式Webショップ「ソニーストア」における販売予定価格は69,800円(税別)となっています。


片手でラクラク持てるカジュアルなA5サイズ


■紙のような書き味が大きなセールスポイント
本製品の最大の特徴は可搬性の高さと書き味の良さです。本体重量は約240gと非常に軽量で、厚さも5.9mmと薄型になっており、さらにデザインの工夫によって側面が更に薄くなっており、持った際の体感的な軽さや持ちやすさを向上させています。


とても薄く、まさに「紙」のメモ帳のように扱える



写真では分かりづらいが、背面は中央に向かってなだらかな傾斜がつけられており、これによって本体の厚みは側面ではカタログ値の半分ほどにまで薄くなっている


従来機のDPT-RP1はA4サイズであったために持ち運ぶ際はビジネスバッグなど大きめのカバンが必要でしたが、本機はその半分のサイズとなるA5サイズであるため収納するカバンを選ばず、またそのままでも持ち運びやすいサイズとなりました。


片手で扱いやすいサイズだ



こちらはA4サイズのDPT-RP1。ペンや手の大きさからサイズ感が分かるかと思う



A4サイズのDPT-RP1は2018年のiFデザインアワードで最優秀賞となる「iFゴールドアワード」を獲得している


本製品のもう1つの特徴である書き味については、まさに鉛筆やボールペンで紙のノートに書くような感覚です。本体ディスプレイ面を硬いガラス製ではなく敢えてザラザラとしたマットな質感のプラスチック製にし、さらに付属のペンもペン先となるチップの材質やザラつきを工夫することでこのような「紙とペン」の書き味を再現しているのです。

摩擦の大きな素材同士による書き味の再現は本体の耐久性などへの不安につながりますが、担当者によればディスプレイ面よりもペン先のチップの素材を柔らかくすることで画面ではなくペン先が摩耗しやすいように設計されているとのことで、摩耗することやペン先を書き味の好みに応じて交換できるように、鉛筆タイプとボールペンタイプの2種類チップを複数個同梱しているとのことです。


ペンは電磁誘導式でボタンを押しながら書くことで消しゴム機能なども使える



充電は上部のキャップを外して行う。端子はmicroUSBタイプ


電子ペンは本体側面にあるスリット部分に内蔵されたマグネットによって装着できますが、接着強度はあまり高くないため取り付けたままでの持ち歩きは少々不安があります。


もう少し磁力が強いか、ロック式での取り付けが可能であれば安心感があったように思われる


■PCやスマホとの連携を活かした機能性の高さが強み
本製品はパソコン(PC)やスマートフォン(スマホ)に接続し、PDFファイルやテキストファイルを取り込んで利用することができるのが大きな特徴で、接続方法もUSBケーブルによる有線のほか、無線LAN(Wi-Fi)やBluetoothなどによる無線接続にも対応しています。

内蔵ストレージは16GBを搭載し、使用可能領域として約11GBを確保しているため、大量のファイルを格納しておくことが可能です。


PCからPDFファイルを読み込み、そこに手書きで情報を書き込んで利用できる



仕事で利用する各種資料の確認や会議の備忘録など、さまざまな用途が考えられる


また大量の情報を格納できるメリットを活かした使い方としては、ユーザーアンケートや病院での電子カルテとしての需要が見込まれます。

とくに同社は本製品のビジネス導入に積極的にアピールしており、展示ブースでもデジタルペーパー連携サーバーを用いたBtoBソリューションの活用例などを紹介。数千・数万単位での情報収集やデータ管理に本製品を活用することを提案していました。


ビジネス商談会でもある本展示会では、ソリューションとしてのデジタルペーパーの活用に多くの来場者が関心を寄せていた



店舗での契約手続きなどは紙媒体では再度パソコンなどへ入力し直さなければいけないが、デジタルペーパーソリューションであればそのまま管理が可能となり業務の効率化が図れる(画像はDPT-RP1による展示)


■ビジネス運用がメインの端末
ペンで書き込む端末としての書き味の良さや本体の軽さなどから使い勝手の良さを実感できる本製品ですが、端末単体で見ると69,800円(税抜)という価格は決して安くはなく、個人用途では「安価なAndroidタブレットなどのほうが便利なのでは?」と感じてしまいます。

しかし本製品の魅力の本質はそういったものではなく、Androidタブレットのような多機能機ではセキュリティー面やメンテナンス性の不安などから扱いづらいと感じる店舗営業の場や、病院で大量の患者の情報を瞬時に集積・管理できる電子カルテのような、大規模なビジネス用途でこそ光るものです。また企業における会議の資料なども印刷することなく手元の端末へ無線でダウンロードしそのまま書き込んで再びパソコンへ転送して保存が可能です。

実際、担当者によれば企業からの導入の問い合わせや実際に導入してからの評価は概ね高く、紙資源の削減によるコストカットや管理コストの削減に大きく貢献しているとのことで、コンシューマ向けにも販売しているとはいえ、その主たる販売ターゲットは企業であるようです。


多機能性とは対局にある機能特化型製品で攻めるソニー




記事執筆:秋吉 健


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