説明上手の話はなぜ分かりやすいのか? プロが教える「話し方」のテクニック

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プレゼンや会議での発言、営業先での顧客への説明、日常的な作業の確認や報告などやりとり。ビジネスはさまざまなコミュニケーションで成り立っています。

プレゼンや営業のための資料が魅力的であっても、それを説明する口が残念ならばチャンスを逃してしまうでしょう。「話し方」はビジネスにおいて、かなり重要なスキルです。

そんな「話し方」のプロからその極意を学べる一冊が、『声と言葉のプロが教える 伝わる話し方』(のざききいこ著、秀和システム刊)。

著者は、全日空グランドホステスから、声優、ナレーターに転身し、話し方の研修講演活動も行う人物。言いかえれば、「接客における会話」「喋り方の技術」「大勢の人前で話す」という、「話すこと」に関するノウハウを実地で学び、研鑽してきた人物です。

本書では、あらゆる場面で使える「伝わる話し方」のテクニックの基本を紹介していますが、その中から「フレージング」「間」「イントネーション」を取り上げてみましょう。

■確実に伝えるために「フレージング」に気をつけよう

「フレージング」とは、言葉の「区切り」に気をつけることです。
たとえば「田中という上司の知り合い」という言葉は、しっかりと区切らないと、情報が正確に伝わりません。
上司の名前が田中であれば、「田中という上司、の知り合い」となります。また、知り合いの名前が田中であれば、「田中という、上司の知り合い」と区切りを変えて伝える必要があります。

プロのナレーターや話し手は、この文章上の句切りを「息継ぎ(ブレス)」で行います。
上の例でいえば、特に後者は句読点の位置に「ブレス」を入れることで、自然と二つ目のフレーズの音が大きくなり、「上司の知り合い」であることが強調されます。

話下手の人は、焦って早口になったり、ボソボソと区切れなく喋ったりしてしまいがちなので、この「フレージング」で、わかりやすく伝えるように心がけてみましょう。

■聞き手を惹きつけるには「間」を使いこなそう

10年ほど前の人気番組『クイズ$ミリオネア』で見どころのひとつだったのが、みのもんたさんの「ファイナルアンサー?」と言った後の「間」でした。

あの緊張感を高める「間」には、回答者だけでなく視聴者にも「早く正解を聞かせて!」と人を惹きつける力があります。

「間」を上手く使いこなせば話にメリハリが出て、説明したい内容も伝わりやすくなります。
特に、難しい内容の話をしているときこそ「間」が不可欠です。「間」を取ることで、聞き手がゆっくりと理解できる時間ができるからです。

たとえば「こちらの商品は△△という最新技術を使っていますが、これが一番のポイントで△△によって□□に××の効果が生まれまして……」などと矢継ぎ早に、話を展開してしまうと、相手はついていけなくなります。

しかし、「こちらの商品は△△という最新技術を使っています。(間)これが一番のポイントで△△によって□□に××という効果が生まれます。(間)すると……」といった具合に「間」を挟むことで、話はすっきりと整理されていきます。

話し手である自分も、「間」を取ることで相手の反応から理解度を確認できるので、何度も同じ話をしないで済むというメリットもあります。

さらに、「これは押したい!」というキーワードの前に「間」を取ると、伝えたいことが強調され、印象に残りやすくなります。「間」は活用の幅があるテクニックなので身につけておきたいところです。

■ガラリと印象を変える「イントネーション」を意識しよう

「イントネーション」は、文の中での高低、強弱の抑揚をつけて声に表情をつけるスキルです。
抑揚のない話し方は、ロボット音声のように無機質で、聞き手も耳を傾ける気が失せるので、情報が伝わらなくなってしまいます。

たとえば「美味しかった」という言葉も抑揚次第で、相手に感じさせる印象は変わります。少し高め、強めの音で発声すると、「美味しかった」という感情が伝わりやすくなります。

また、語尾のまとめ方も「イントネーション」に含まれます。
「美味しかった」も、「美味しかったぁ〜」と語尾を伸ばせば、ほっこりして満足した気分であるかのような印象になります。
語尾のまとめ方の好例は、小泉純一郎元首相の「痛みに耐えてよく頑張った!感動した!」という名台詞です。小泉氏の話し方は、その語尾の歯切れの良さから、堂々として力強い印象になっていますよね。

本書では、話し方を磨くために、ICレコーダーなどで自分の話しているところを録音してみることを勧めています。客観的にはわかりにくい「自分の話し方」の弱点を探るためには効果的な方法かもしれません。

(ライター:大村 佑介)

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