契約交渉に臨んだ西武・山川穂高【写真:上岡真里江】

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希望通りの1640万円増でサイン「きちんと評価していただいて大満足」

 12月5日の1回目の契約交渉でサインを保留した西武の山川穂高内野手が12日、メットライフドーム(埼玉県所沢市)で2度目の交渉に臨んだ。「1週間経ったので、僕もしっかり考えましたし、球団の方もいろいろ考えていただいた。その上で、僕も納得してサインができた」と、本人希望額通りの3240万円(約1640万円増、金額は推定)で来季契約を更改した。

 どうしても譲れなかったのは、尊敬する同期エルネスト・メヒアとの熾烈なポジション争いへの理解だった。ともに、西武に入団して4年。「今までずっと、メヒアに負けているという気持ちがあった。でも、メヒアに勝たないと、試合に出られない。その中で、今年は、メヒアの調子(が良くなかったこと)もあったとは思うのですが、後半は僕の方が試合に出られた。ホームラン数でも上回ることができた。争って、勝てた部分ができたのが、そこを評価してほしかったことが一番大きかった」。今回の話し合いで、球団側もその思いを十分に汲んだ形。「きちんと評価していただいて、大満足です」と、感謝した。

 一方で、球団側の「プロ野球選手は、一年間出てなんぼ」との評価基準も、重々受け止める。シーズン通して1軍の試合に出続けるためには、「体力が大事」。秋山(翔吾)、浅村(栄斗)ら、常に試合に出続けている先輩を見習い、乗り越えていく構えだ。その上で、来季もメヒアとの一塁の定位置争いを勝ち続けていかなければいけない。

「僕は、いろいろな位置を守れる人ではないのですし、ライバルがメヒアなので、なかなか難しい。でも、それを言い訳にしたら終わってしまう。守備ができない分、打ってメヒアに勝つしかない。絶対に勝ちたい」

来季も熾烈な争い「4番を勝ち取っていきたい」

 相手は、2014年の本塁打王。昨年も、35本塁打を放った正真正銘のホームラン打者だけに、苦戦は必至だ。だからこそ、「全部の試合に出るという大きな目標を最初から掲げるのではなくて、本当に1試合1試合、1打席1打席、1球1球に対して『レギュラーを取る』という気持ちでやっていこう」と話す。こだわった契約内容が快諾された日を機に、改めて、強く自身に言い聞かせた。

 今年掴んだ“ホームランを打つ感覚”は本物だと、自身の中で確信する。だからこそ、あえてオフは休まず、良い感覚を身に染み込ませ、来春キャンプ、オープン戦、そして開幕スタメンへと挑んでいくつもりだ。

 今シーズン中は、打順4番に座った中で結果を残し、周囲からの信頼も得た。来季、さらなる飛躍が期待される中、「4番を打てるなら、打てるだけ打ちたい」と貪欲さを表に出す一方、「ただ、うちのチームには4番を打てる打者がたくさんいるので、与えられての4番というのはありえない。その争いの中で結果を出して、4番を勝ち取っていきたいです」と言い切る。

 年間通して活躍し、真の意味でチームの主軸となれるか。真価問われるシーズンとなる。(上岡真里江 / Marie Kamioka)