フジテレビ『みなさんのおかげ』差別騒動で”老害バラエティ”が一掃か(写真はイメージです)

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 先月29日にフジテレビが開いた定例会見の場で、宮内正喜社長(73)が謝罪する一幕があった。これは前日に放送された『とんねるずのみなさんのおかげでした 30周年記念SP』(フジテレビ系・以下同)内で、性的少数者を揶揄する表現に不快感を示す視聴者が続出したことを受けてのことだ。

 宮内社長は、30年の間に作り出してきたとんねるずのキャラクターとして展開したと断ったうえで、「不快な面をお持ちになった部分があれば、大変遺憾だと思うので、謝罪しなければいけない」と説明したが、実際にフジテレビには約100件の賛否の声が寄せられたという。また今回の騒動は、フジテレビ社内でも問題視されているようだ。

 元フジテレビアナウンサーで、現在は同社の報道局に所属している阿部知代(54)は、自身のTwitterで「社長が謝罪して終わりではない」と苦言を呈し、抗議文を送った視聴者に向けて、感謝と謝罪を述べた。また、「弊社のバラエティ制作陣はみんなタフだから萎縮はしないと思います。これを機に気づいてくれたら、注意深くなってくれたらと願います」と綴っている。現在阿部は、ニュース配信チャンネルの『ホウドウキョク』内で、「LGBT LIFE」というコーナーのMCを担当している。そのため、今回の騒動には一言意見せずにはいられなかったようだ。

「いつまでも時代が止まったままのような従来のフジでは、下手すればうっかり“見たくなければ見なければいい”論が出て来て、謝罪すらなかった可能性もあったでしょうね。阿部のような目線で見れる関係者も、局内部には少なからずいるようですが、制作陣の間ではそういった認識を持つ者と持たない者の隔たりがかなりあるようです」(芸能関係者)

 “タイムテーブルをまっしろにするくらいの改善”を掲げる宮内社長だが、阿部の苦言をどのように受け止めて、今後の戦略を打ち出すのだろうか。

■視聴率が低いのに終われない“ご長寿バラエティ”

 また、フジテレビが持つ様々な“ご長寿バラエティ”は、コンプライアンスの面だけではなく、深刻な低視聴率が毎度のごとく問題視されている。

「ここ数年、常に終了説が流れている『めちゃ×2イケてるッ!』や、日曜お昼の長寿番組『ウチくる!?』も視聴率が3%台とわれており、裏番組におされまくりの状態です。特番でも『志村けんのバカ殿様』は、1ケタ台の低空飛行が続きっ放しなのだとか。番組編成の改革を行うのであれば、これらの”老害番組”にもメスを入れなくてはいけない状態です」(前出・芸能関係者)

 しかしそんな“改革のメス”を阻む理由があるという。

「これらの番組が終われないのは、ほとんどの理由で大手芸能事務所への忖度があるからだと言われています。つまりそれぞれの芸能事務所と、フジテレビの結びつきが強すぎるためです。かつては、この結びつきによってヒット番組を連発させていたのですが、もう時代は変わってきている。フジにとって今はこれが“ガン”になっているようです。とはいえ簡単には切れないので、この流れを維持しつつ、山内社長の古巣であるBSフジなどにも編成の協力を仰ぎ、地上波番組を改善することにもなるかもしれませんね」(同・関係者)

 バラエティだけでなく、ドラマの視聴率も問題視されるフジテレビだが、こうしたご長寿番組の問題もまだ何一つ解決されていない状態のようだ。

文・佐々木浩司(ささき・こうじ)※1980年群馬県生まれ。スポーツ誌の契約記者を経てフリーに。現在は主に、週刊誌やビジネス誌で活動中。得意分野は芸能、プロ野球、サッカーなど。主な著書に『洗脳のすべて』(宝島社)など。