廃墟の女王」と呼ばれる、旧「摩耶観光ホテル」(摩耶観光ホテル公式アカウントより)

神戸市灘区の摩耶山中腹、標高450メートルの場所にある「廃墟の女王」をご存じだろうか。旧「摩耶観光ホテル」という、1929年に開業したホテルだ。1993年、その歴史に幕を降ろした。摩耶山中で年月を重ね、独特の美しさを持ちながら朽ちていく姿が、多くの廃墟マニアから愛されている。

この旧「摩耶観光ホテル」を登録有形文化財にするため、その調査活動資金を調達するプロジェクトが、クラウドファンディングサイト「Readyfor(レディーフォー)」で始まった。

いったいどんなプロジェクトなのだろう。Jタウンネット編集部は神戸に電話して、話を聞いてみることにした。

「これ以上崩れないように保存する......」


旧「摩耶観光ホテル」館内(摩耶観光ホテル公式アカウントより)

電話で答えてくれたのは、プロジェクトの発起人の一人、NPO法人J-heritage(神戸市兵庫区)の前畑洋平さんだった。

「私たちが目指しているのは、摩耶観光ホテルがこれ以上崩れないように保存することです」と前畑さん。建物を修復しようとか再建しようというのではなく、廃墟廃墟のまま、保存することだという。


旧「摩耶観光ホテル」館内(摩耶観光ホテル公式アカウントより)

つまり近代化遺産として文化財登録し、保存することが目的で、登録申請に必要な調査、建物の劣化を防ぐための整備などの費用を調達することが、今回のクラウドファンディングの狙いである。目標金額は500万円だ。

資金協力者には、旧「摩耶観光ホテル」の内部調査の同行や撮影を許可するといった特典も用意されている。またルームキーやメモ帳セットなども。7月11日昼の時点で、資金協力者170人以上、支援総額390万円以上が集まっている。目標を達成した場合も募金を続けるという。


摩耶観光ホテル保存プロジェクト(クラウドファンディングサイト「Readyfor」より)