新加入も今季絶望となったフィリーズのバックホルツ【写真:Getty Images】

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新加入も今季絶望のバックホルツ「わずか2試合144球でフィリーズでのキャリアは終わった」

 社会や文化の違いもあり、日本では謝ることが日常的に行われているが、アメリカ合衆国では相応の理由がない限り謝らないことが一般的だ。そのため、誰かが謝罪した時は、少なからず注目を集める。26日(日本時間27日)、フィリーズの右腕クレイ・バックホルツ投手が負傷離脱することを謝罪したことが、話題になっている。米NBCスポーツ他が伝えている。

 球団公式サイトによれば、バックホルツは右前腕屈筋腱を断裂し、18日(同19日)に修復手術を受けたため、4?6か月の回復期間が必要になるという。右腕は9月の戦列復帰を目指してリハビリに励むそうだが、今季のフィリーズはチーム再建の真っ只中のため、バックホルツは「わずか2試合144球でフィリーズでのキャリアは終わった」と目されている。

 レッドソックスでキャリアを積み上げたバックホルツは、昨年12月にトレードでフィリーズへ移籍。契約最終年にあたる今季は年俸1350万ドル(約15億140万円)で、先発ローテの中心として期待されたが、キャンプ中から状態が思わしくなく、開幕後は2試合しか投げていなかった。

「バックホルツは誰に対しても謝る必要はない」

 新チームでの早期離脱に責任を感じたのか、バックホルツは「謝るべき人にはほぼ全員に謝った。もちろん、こんな形にはしたくなかったから」と、マット・クレンティックGMをはじめ首脳陣やチームメイトに負傷離脱することを謝ったそうだ。

 だが、これに対して「NBCスポーツ」のビル・ベアー記者は「スポーツ界には一般的に労働者を軽視する文化があることを示唆している」と指摘。「仕事をしている最中に負った怪我について謝らなければならない気持ちにさせる」風潮を嘆き、「バックホルツは誰に対しても謝る必要はない」と主張している。

 その中で、これまでチームメイトに負傷離脱を謝罪した例として、2006年に試合中に左手首を骨折した松井秀喜氏(当時ヤンキース)、2014年のシーズン途中に右肘靱帯の負傷で離脱したヤンキース田中将大投手らを挙げている。松井氏の時も田中の時も「アメリカ人選手はなかなかしないことだ」と、チームメイトに対する“謝罪”に称賛の声が多く聞こえていた。

 謝るべきか、謝らざるべきか。しばらく議論は続きそうだ。