薬物投与で心停止になり死亡した4歳児(出典:http://metro.co.uk)

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ドラッグディーラーとの恋を邪魔されたくない。そんな邪心が我が子を死に追いやった。2013年に英ハルで起こった事件についての裁判がこのほど開かれ、改めて母親が4歳の娘にした残虐な行為が明るみに出た。

2013年の6月、ポピー・ウィディソンちゃんは短い4年の生涯を閉じた。死因は心停止だった。

母親のミカーラ・パイク被告(37歳)は、ドラッグディーラー(薬物密売人)のジョン・リッティング被告(40歳)との恋愛で4歳の娘ポピーちゃんが邪魔になった。

2人が性行為に及んでいる間、邪魔されたくないと思ったパイク被告は、ポピーちゃんを眠らせるためにジアゼパムの青い錠剤を飲ませていた。パイク被告はこの錠剤を(チョコレートの)「ブルー・スマーティーズ」と偽っており、リッティング被告に「あの子の好きな『ブルー・スマーティーズ』を用意しておいて」と告げた記録が証拠として残されている。

さらにポピーちゃんの毛髪から、モルヒネ、コデイン、ケタミン、ヘロイン、メタドンなどの薬物が検出されたことも明らかになっており、8か月にわたってかなり複数の薬物と関わっていたのだ。

裁判では、安全ではない環境に子供をおいていたことは認めたものの、ポピーちゃんへの身体的な虐待行為や薬物投与を当初は否定していたパイク被告であったが、裁判が進むにつれてリッティング被告がポピーちゃんにヘロインを投与していたと供述し始めた。

だが後にリッティング被告はそれを否定。検察官のデイビッド・ゴードン氏によると、パイク被告の供述も二転三転しているという。ゴードン氏が「娘の舌が(薬の色で)青くなっていることに気付きながらなぜ警察を呼ぼうとしなかったのか」と問い詰めるとパイク被告は「頭が朦朧としていた」と述べ、薬を与えたのは自分ではないと主張した。

リンカンシャー北東部にあるグリムズビーのリッティング被告の部屋は、常に薬物が散らばり汚れた状態であったという。ポピーちゃんが亡くなった後も、1000点以上のドラッグが見つかっている。ポピーちゃんはソファーの上で心停止の状態で発見された。

また裁判ではパイク被告がポピーちゃんに対して、平手打ちをしたり罵詈雑言を浴びせていたこともわかった。本人の供述では、リッティング被告とは9か月前に知り合ったという。最初の頃は娘ともうまくいっていたが、ポピーちゃんが実の父親に会うようになってからは関係が変化し、次第にポピーちゃんを邪魔者扱いするようになったようだ。

ポピーちゃんの心停止の直接の原因が、長期にわたる複数の薬物摂取であると断定できないにしても、わずか4歳の子供が複数の薬物を投与されるという尋常ではない生活を送っていたことは確かであり、そうしたことが死への影響を及ぼしているのは明らかだと専門家は話している。

娘を死に追いやったことへの責任逃れをしようとするパイク被告に対し、ゴードン氏は「自分の私利私欲のために、娘の苦しみにはお構いなしという非常に身勝手な自己防衛」と批判。しかしパイク被告は「私は娘を愛していた。その事実は誰にも変えられない。娘を守ってやるべきだった。ただ、娘を愛していたのと同時に、薬も同じぐらい大切だった。娘にはとんでもないことをしてしまった。私は母親失格だが、せめて真実を伝えなければ娘は浮かばれない」と話しているという。

裁判は今後も続く予定だが、わずか4歳の命を終えなければならなかったポピーちゃんのために、正当な判決が下されることを願いたい。

出典:http://metro.co.uk
(TechinsightJapan編集部 エリス鈴子)