本田の立ち位置は、前回のブラジル・ワールドカップ予選の時の遠藤と似ているかもしれないね。あの時はディフェンス面を重視して山口が台頭してきた。今回のハリルホジッチ監督は運動量を求めているから、原口のような選手が台頭している。
 
 でも、本田はFWに近いところでプレーできる選手。どうしても点がほしい時にワンポイントで起用できる。ボランチの遠藤とはポジションが違う分、チームに貢献できる使われ方が変わってくるんだ。
 実際に、途中起用されたサウジアラビア戦では、長友とのコンビネーションで左サイドを崩し、原口のゴールを導いて見せた。出場時間が短くても輝ける本田は、ジョーカーとして本当に嫌な存在になれると思う。
 
 もちろん、後輩たちに経験を伝える仕事も重要だよ。チームメイトに、いろんなアドバイスをしているだろうし、今後もしていくだろう。切り札として、そして精神的支柱としての価値は極めて高い。クラブでコンスタントに出場できるようになれば、代表でも十分に力を発揮していくだろう。
 
 いずれにせよ、競争が活発になったのは、チームにとってポジティブな要素だ。今までは、選手自身も「試合に出られないんじゃないか」と感じていたところがあったかもしれないけど、それが今回の采配で大きく変わったと思う。モチベーションは上がっているだろうし、ベテランと新しく加わった選手が上手くミックスされてチームの底上げが期待できそうな気配だ。
 
 不安があるとすれば、今後のアウェー戦だね。サウジアラビア戦は、自分たちが目指す形がある程度できていたけど、今の日本代表のサッカーは気候の影響も受けやすい。例えば、中東の暑さのなかで、90分間もつかどうか不安はある。
 
 最終予選の残りの5試合のうち、UAE、イラク、サウジアラビア戦がアウェーだ。過酷な環境でプレーすることもあるだろう。そういう状況も考えなくてはいけないから、スタミナの消耗を抑えるような他の戦い方も準備したいところだ。
 
 サウジアラビア戦は最後に1点を取られたけど、あそこを2-0で終えられる采配も今後は大事。一枚前線を削ってでも守りの選手を増やしていくとか、そういう選択肢も用意しておいてほしいね。