経営不振や業績不安が懸念されていた「ドイツ銀行」ですが、最近発表された7‐9月期(第3四半期)決算の数字が、2億7800万ユーロ(約300億円)の黒字に転換しました。とりあえず欧州市場に蔓延していた信用不安は落ち着いたと見て良いのではないでしょうか。

 ただ、11月はイタリアで憲法改正に関する国民投票が12月4日に行われるため、その情勢次第ではマーケットに影響を与えるかもしれません。加えて、英国のメイ首相が来年3月までにEU(欧州共同体)に対して離脱の意向を通知する方針を示しています。どちらも不安材料になる可能性があります。

 ECB(欧州中央銀行)理事会は11月はありませんが、現在進行している金融緩和プログラムの期限が来年3月に迫っています。延長するかどうかは、関係者から出て来る今後のコメントが気になるものの「テーパリング(緩和縮小)」の可能性は低いと思います。

 11月の予想レンジとしては、「ユーロ円」が1ユーロ=111円-118円、「ユーロドル」が1ユーロ=1.06ドル-1.12ドル。「英国ポンド円」では、1ポンド=122円-132円と予測しています。

 ――豪ドル円はどんなレンジを予想しますか? また、11月相場の注意点は?

 豪ドル円は、3か月ぶりに1豪ドル=80円台を回復しましたが、その背景にはオーストラリアの7‐9月期のCPI(消費者物価指数)が予想に反して上昇したことがあります。豪統計局によると前年同期比で1.3%の上昇で、市場予想の1.1%を上回る結果です。さらに、コアインフレを示す「トリム平均」も1.7%と上昇しており、11月1日に行われるRBA(オーストラリア準備銀行)理事会での利下げ観測が大きく後退。原油価格など資源価格の落ち着きが追い風になっているのかもしれません。

 「豪ドル円」の予想レンジとしては、1豪ドル=77円-82円と見ています。利下げの可能性は少なくなったとはいえ、市場の動きは注意深く見ましょう。

 11月は、なんといっても米国大統領選挙の結果次第と言えます。8日前後の市場の動きは乱高下が予想されます。ドル円のレンジが変わった可能性があると指摘しましたが、11月の2週目あたりで1ドル=105円台をキープしていれば、レンジが円安方向に変化し、これ以上の円高の可能性は少なくなったと見て良いと思います。

 どんな通貨でも、大きなボラティリティがあったときはチャンスでもあります。チャンスを生かせるように注意深く市場の動きはチェックしておきたいものです。(文責:モーニングスター)