元サッカー日本代表で現在はタレントとしても活躍中の前園真聖。2016年9月から開幕するバスケットボールリーグ「Bリーグ」の特命広報部長に就任した

写真拡大

プロスポーツのクラブにとって「地域密着」は発展を支える重要なキーワードだ。ひと口に言って「地元のファンが地元のチームを支えてくれる」ことが、クラブの発展には欠かせない。

“バスケ王国”秋田がプロバスケリーグに参戦!秋田県のニュースやイベントはこちら

1993年に開幕したプロサッカーのJリーグは、地域密着の重要性を高らかに歌い上げながら華々しいスタートを切った。そのJリーグと同じように、地域密着型のプロスポーツがまた日本に生まれる。男子プロバスケットボールのトップリーグ「B.LEAGUE」(以下Bリーグ)が2016年9月からスタートするのだ。

このBリーグの特命広報部長に就任した元サッカー日本代表・前園真聖に、プロスポーツと地域の関係性について話を聞いた。

前園は高校サッカーの名門・鹿児島実業高校を経てJリーグの横浜フリューゲルスに加入。Jリーグ創成期を選手として肌で知っている。

「地域の人たちの支えは大切にしなくてはいけないものです。応援はもちろん、高校時代は100人近い部員たちの食事を作っていただいたり、試合運営をボランティアで手伝っていただいたり、いろんな形でお世話になりました。地域のサポートがあるからこそ試合に出場する選手は活躍できるんです。その点は高校生であろうがプロであろうが、変わらないかもしれません」と前園。

アマチュアもプロも地域のサポートは重要、とはいえ、プロのクラブでは地元ファンの人数が観客動員数に直結し、クラブ存続にも関わる要素だ。

「スタジアムに足を運んでくれるファンがどれだけいるか、というのはプロチームにとっては重要はことです。お客さんが試合を見に来てくれない=収入が少ない、つまりチームの経営が成り立たなくなってしまうわけですから」

では、地元ファンを引きつける魅力あるチームの条件とはどんなものだろう。

「スポーツは勝負事ですから、強いチームが魅力的なのは間違いありません。でも、ずっと勝ち続けられるものでもない。僕は『負けたとしても次もまたスタジアムに来てもらえる』ということが大事だと思います。そのためには、選手自身のプレーの輝きや頑張りという部分もありますが、ほかにも大切にしなくてはいけないことがある。チケットを買って見に来てくれるファンにサインするとか、試合後にグラウンドを一周するとか、そういった“心配り”こそおろそかにしてはいけない。こうした根本的なことを選手はしっかりやっていくべきだし、その積み重ねによって、地域の人たちに『自分たちのチームを応援したい』という気持ちを持ってもらえるのではないでしょうか」

前園が特命広報部長に就任したBリーグは男子プロバスケットボールの最高峰として発足。Jリーグを成功に導いた川淵三郎氏が日本バスケットボール協会の会長(現在はエグゼクティブアドバイザー)に就任し、今度は日本のプロバスケットボール界に変革をもたらしている。

「バスケットボールは競技人口が多いスポーツなので、Bリーグが成功する可能性は大いにあると思っています。コートのすぐ横で試合を観戦すると、選手との距離が近いのですごく迫力があるのも、バスケットボールの魅力のひとつです」

日本の都道府県の中でもバスケットボールで有名なのは、名門・能代工業高校を擁する秋田県。米NBAでプレーした経験を持ち、栃木ブレックスの一員としてBリーグに参戦する田臥勇太選手も能代工業高校の出身だ。

「秋田県には、子どもたちのためのサッカースクールなどで何度か訪れたことがあります。その時に見たのが、ブースターと呼ばれるファンのみなさんが街中にあふれかえり、あちこちがピンク色に染まっている光景でした」

サッカーファンのことを“サポーター”と呼ぶように、バスケットボールではファンを“ブースター”と呼ぶ。秋田県には秋田ノーザンハピネッツというプロチームがあり、ブースターはチームカラーであるピンク色のウェアを身にまとっているのだ。

「秋田県を訪れた時の実感からすると、秋田のブースターのみなさんはいわゆる『おらが町のチーム』という意識が高いのでは、と想像します。それは先ほども触れましたが、チームを発展させていくために必要不可欠のパワーなんです。そこに注目すると、秋田という土地がBリーグにおいて成功を収める可能性は高いと僕は感じています」【東京ウォーカー】