「NMB48 コンサート2016 Summer〜いつまで山本彩に頼るのか?〜」が神戸ワールド記念ホールにて開催された。今回のコンサートは、不動のセンター・エースとして圧倒的な人気を誇る山本彩が不在の中、他のメンバーだけで神戸ワールド記念ホールのチケットを完売できるのか?というイベントとなり、チケット完売なら、次のシングルが山本彩以外からセンター選出、完売できなければ山本彩がセンターという条件付きのもの。チケットを売り切らなければ、今までどおりに「山本彩に頼る」NMB48として活動していく、ということになってしまう。

結果としては、今回はチケットを完売させることは出来なかった。しかし、コンサートを見て感じたことは、各メンバーたちの本気が山本彩という存在を「越えた」ということだ。

いま、多くのアイドルグループが世代交代に悩まされている。例外として世代交代に左右されないグループは、超メジャー級アイドルグループでは5人の固定メンバーで長らく活動してきたももいろクローバーZくらいのものだろう。特にAKB48グループでは、各グループで世代交代が叫ばれている。AKB48、SKE48では主軸メンバーの卒業を迎え、2015年から2016年にかけ一気に世代交代の波が訪れた。その波は、渡辺美優紀の突然の卒業という形で、NMB48にも振りかかってきた。

コンサートタイトルではないが、「山本彩」一人に頼りきっている状況は、渡辺の活動が少なくなり卒業を迎えた辺りまで色濃く出てしまった。各メンバーは危機感をつのらせ次世代センターと言われる白間美瑠、薮下柊、太田夢莉は当サイトのインタビューでも今回のコンサートに懸ける思い、そして「山本彩越え」について話してくれている。

今回のコンサート、NMB48のファンでなければ、そこまで重要視されるようなイベントとは感じないのかもしれない。しかし、メンバーたちから聞かれた声はかなり危機感を持ったものだった。「いつまで山本彩に頼るのか?」は、NMB48の未来が変わるようなコンサートとなっていたのだ。

そのコンサートで、各メンバーが持てる力…いや、それ以上のパフォーマンスを見せてくれた。特に、白間美瑠は華やかなビジュアルとパフォーマンスで、須藤凜々花はトークで大活躍し存在感を示していた。その他にも、薮下柊はムードメーカーとしてグイグイとグループを引っ張っていく。上西恵、吉田朱里、木下百花など…様々なメンバーが活躍をした。

その中でも注目したいのが、太田夢莉と城恵理子だ。城恵理子は終盤にMCで一言を求められると、大粒の涙を流しながら「センターへの思い」を語った。一度は次世代エースの筆頭として期待されながらも卒業。その後に研究生としてNMB48に復帰した城は、どこか後ろめたさもあったのだろう、この日までセンターへの思いを自分からなかなか言い出せなかった。そしてこの日、「ジッとしていても前に進めない」と改めてセンターへの気持ちを明かした。このコンサートがなければ、もしかしたら城恵理子の決意表明はなかったかもしれない。

そして太田夢莉。当サイトのインタビューでもどこか次世代エース候補の中ではセンターへの熱意が薄かった印象の彼女もまた、この日のコンサートでセンターへの思いを話した。しかも、Wアンコール後に一人で舞台へ上がり、しっかりと自分の気持をファンへ熱く伝えた。「山本彩に負けたくない」「リベンジをしたい」とどこかクールな印象の太田が熱く語ったことは、ファンへそしてメンバーの心へ大きく響いただろう。

現に、コンサート終了後、普段よりも多くのメンバーがSNSにてツイッターを中心に自分の気持を発表している。「山本彩に頼らない」というコンサートの目的は、チケットが完売はしなかったがしっかりと達成できたのではないだろうか?

新たな光を見つけたNMB48。次作のセンターは山本彩が務めるが、山本とともに最高の楽曲を披露し、そして多くのメンバーが「その次のシングル」へ向け、バチバチと火花をちらして欲しい。

写真(C)NMB48