責任転嫁という行為は日常生活で見受けられるものだ。ドイツには「騎手が役に立たないときは馬が責められる」、また英国には「腕の悪い職人は道具のせいにする」という慣用句もあることから、責任転嫁は世界共通のものであることが分かる。(イメージ写真提供:123RF)

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 責任転嫁という行為は日常生活で見受けられるものだ。ドイツには「騎手が役に立たないときは馬が責められる」、また英国には「腕の悪い職人は道具のせいにする」という慣用句もあることから、責任転嫁は世界共通のものであることが分かる。

 そして「スケープゴート」という米国の言葉も責任転嫁を表現する意味として有名だ。スケープゴートという言葉にはいけにえのヤギという意味があり、贖罪のためにヤギに罪を負わせて野に放ったという旧約聖書の故事が由来となっている。現在では民衆の不満や怒りを解決するため、代わりに攻撃の対象とされてしまう者や集団などを指して用いられる。

 中国メディアの環球網は20日、韓国メディアの報道を引用し、米国は中国を「スケープゴート」にしており、「世界の経済混乱や米国の失業問題はすべて中国のせい」だと言いがかりをつけていると主張した。

 記事は、米国は「世界の経済混乱や米国の失業問題はすべて中国のせい」だと言いがかりをつけていると説明し、米大統領候補のドナルド・トランプ氏が世界の金融市場混乱の際に株価暴落を中国の責任にし、さらに中国に米国の雇用が奪われていると主張したことを紹介した。

 一方で記事は「決して中国に問題はない」と反論、さらに「1990年代初め、カリフォルニア州の経済がよろめき始めた時、米国人は自身を責めるのではなく日本人に罪をなすりつけた」と指摘。続けて「現在、悪の元凶は価格の安い中国の輸出品と労働力へと変化している」と説明、米国が抱える問題は「グローバル化ではなく、無能な米国政府にある」と主張した。

 記事が指摘しているとおり、確かに米国が中国をスケープゴートにしている部分もあるかもしれない。過剰生産能力を抱える中国がだぶついた鉄鋼製品を安価で輸出しているため、世界の鉄鋼メーカーは価格下落に苦しんでいる。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)