ドジャース・前田健太【田口有史】

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3戦2勝の右腕を特集、「マエダはドジャースにとってバーゲンか?」

 ドジャース前田健太投手が開幕3戦で無傷の2勝と順調なスタートを切った。17日(日本時間18日)の本拠地ジャイアンツ戦では、7回4安打7奪三振1失点と好投し、3-1での勝利に貢献。開幕から3試合連続でクオリティースタート(QS、6回以上を自責3以内)を記録している。

 ドジャースとの契約交渉時、メディカルチェックで肘など健康面の懸念が発覚した前田は、契約ボーナス100万ドル(約1億円)を含めて8年総額2500万ドル(約27億円)と年俸を抑える一方、契約には1年最大1015万ドル(約11億1000万円)という大型のインセンティブ(出来高)が盛り込まれている。

 前田は毎年32試合以上に先発し、200イニング以上を投げた場合、開幕ロースター入りのボーナス15万ドル(約1640万円)を加えて満額の出来高を手にできる。年俸は合計1315万ドル(約14億3600万円)と跳ね上がるが、地元メディアからは出来高を全て支払ったとしても「お買い得」という声が出ている。米スポーツ専門誌「スポーツ・イラストレイテッド」(電子版)が、動画特集「120スポーツ」で「ケンタ・マエダはドジャースにとってバーゲンか?」と取り上げている。

ドジャースは28歳のケンタ・マエダと8年2500万ドルで契約を結びました。昨年までは誰も彼のことを知りませんでしたが、今では誰もが知るところです」

「これは双方にとってウィン・ウィンの契約」

 動画の中で、司会は広島からポスティングで加入した日本人右腕のブレークぶりをこう指摘。さらに、ドジャースと前田の契約内容を紹介した上で、「このような長期契約は普通の投手ならリスクですが、前田のような優秀な投手の場合、ドジャースにとってはバーゲンに思えます。どんな契約なのか分かりませんが、ドジャースはこの交渉において勝利したのではないでしょうか」と語っている。

 司会の分析に対して、評論家は両者にとってこの契約の意味合いとはどんなものなのか、考察を加えていく。

「この他にも、前田の所属チームに2000万ドルを支払っている。さらに、(前田は)2500万ドルに加え、ボーナスを手にすることになるのです。忘れてはいけないことは、彼は身体検査で肘に懸念が発覚したことです。ここで球団は時間をかけて投資とリスクに踏み切ることになったのです。

 前田はボーナスを契約に組み込みました。年間32試合先発、200イニングを投げることができれば、彼は成果給をマックスで手にすることができます。これはプレーすれば払う、健康なら払うよ、という契約です。肘の問題で活躍できなくても2500万ドルは保証しますという内容です。これは双方にとってウィン・ウィンの契約です」

出来高“総取り”でも安い、「ドジャースにとってはすごくいい契約」

 前田を獲得するために、ドジャースがポスティングシステム(入札制度)の譲渡金2000万ドル(約22億円)も払っていることなどを説明。健康面で不安材料が浮上した前田にとっても、ドジャースにとっても利のある契約だと強調している。

 その上で、開幕直後の大活躍から「前田はメジャーでプレーしてきた投手と異なり、すべての報酬が保証されているわけではありませんが、8年間ボーナスを最大限に支払ったとしても、例えば年間1300万ドルを支払ったとしても、今のところの活躍を見れば、それすらもバーゲンです。300万ドルはすごいお得ですが、1300万ドルになったとしても、それでもドジャースにとってはすごくいい契約です」と手放しで絶賛している。

 他の解説者も「ユニークでクリエイティブな契約でお互いを保護するもの。もしも、前田が本当に堅実に活躍するシーズンが3、4年だとしても、それでも(ドジャースにとっては)バーゲン。まだ3試合だけど、彼は本物に見える」と高く評価している。

 契約時に特殊な契約形態からアメリカ中で話題になり、ツイッター上で「マエダインセンティブ」というハッシュタグも登場したほどの前田だが、膨大な成果給をすべて支払ったとしても、ドジャースはお買い得品をゲットしたというのが、現時点での米国での定説となっているようだ。