河南省鄭州市内で、12月26日午後、13階建てマンション屋上からの男性の飛び降り自殺を、消防士1人が食い止めていたことが分かった。消防士は男性の体をつかんだが、男性は持っていた鉄パイプで消防士を殴り、手に噛み付いて負傷させた。消防士はそれでも「命を失わさせるわけにはいかない」と、放さなかったという。鄭州晩報が報じた。(イメージ写真提供:123RF)

写真拡大

 河南省鄭州市内で、12月26日午後、13階建てマンション屋上からの男性の飛び降り自殺を、消防士1人が食い止めていたことが分かった。消防士は男性の体をつかんだが、男性は持っていた鉄パイプで消防士を殴り、手に噛み付いて負傷させた。消防士はそれでも「命を失わさせるわけにはいかない」と、放さなかったという。鄭州晩報が報じた。

 「マンション屋上に人がいます。大声で叫んでいる。飛び降りるつもりらしい」との通報を消防が受けたのは12月26日午後6時だった。男は屋上で「お前らなんかいらない。オレは行くんだ。かまうな」などと大声で叫び続け、鉄パイプを振り回していた。屋上にある小屋を鉄パイプで叩き、コンクリートのかけらが地上にまで降ってきたという。

 消防は、地上から男性を説得させて少しでも落ち着かせると同時に、屋上に消防士1人が出て、男性の身柄を確保する作戦を決めた。男性を確保する役目を担当したのが郭輝さんだった。

 郭さんは屋上に出て、様子を見て男性に近づこうとしたが、気づかれてしまった。男性は「まずお前を殺してやる。それからオレが飛び降りる」と怒鳴って、鉄パイプで郭さんになぐりつけた。郭さんは危うくかわし、次の瞬間にむしゃぶりついた。男性は郭さんの背中を鉄パイプで乱打し、それでも離さない郭さんの手に噛み付いた。

 郭さんの手に激痛が走った。しかし郭さんは「こんなに興奮している。ここで放したら、この人は絶対、そのまま飛び降りる。命を失わせるわけにいかない」と思い、他の隊員が応援に来るまで耐え抜いたという。

 郭さんは右手親指の付け根を負傷したが、医師の手当てを受けた後、その晩の勤務を続行した。(編集担当:如月隼人)(イメージ写真提供:123RF)