「ビーバー」という揚げあられのお菓子をご存知でしょうか。
恐らく多くの人は知らないのではないかと思われますが、このビーバーは北陸エリアで販売されているお菓子です。全国流通の商品と勘違いする人がいるほど北陸の人々に浸透し、長年愛され続けています。

ビーバーの商品名の由来は、1970年に開催された大阪万博カナダ館のビーバー人形の歯と、このお菓子を2本並べた形が似ていたからだそう。原材料には「鳴門の焼塩」、「日高昆布」、「北陸産もち米」を使用しています。商品名だけではなく素材に対してもこだわりが感じられます。



サックサクながらふわっとした柔らかな食感で、子供からお年寄りまで安心して食べることができますし、噛み締めていくごとに絶妙な塩加減とほんのり香る昆布の旨味が口の中に広がります。

1つ食べだすとエンドレスで食べてしまうので、私の家ではこれが出るといつも瞬殺の勢いでなくなりました。これをきょうだい仲良く食べるというのは非常に難しいものがありまして、「ビーバーはきょうだいゲンカの始まり」という格言が生まれたのは私の家だけでしょうか。


製造販売元の経営破綻を経て完全復活


そんな長年愛されて親しみのあるビーバーなのですが、非常に残念なことに製造販売していた福屋製菓が2013年に経営破綻してしまったのです。スーパーから徐々に消えていくビーバー。しかし人気は健在だったために、残り少ない在庫を求めてまとめ買いする人も多くいたそうです。やがて店頭から完全に在庫が消えると、今度はビーバーを惜しむ声と復活を求める声が多く出てきました。

そこへ同じ金沢市の老舗製菓会社である北陸製菓が名乗りを上げたのです。レシピとノウハウを受け継ぎ、ビーバーは2014年9月1日に完全復活を成し遂げました。現在では北陸のスーパー、コンビニ、北陸製菓ウェブサイトの通販で購入できます。希望小売価格は238円。贈る相手にあまり気を使わせないちょっとしたお土産として、北陸を訪れたときに買って帰ると喜ばれそうです。

通常のビーバーのほかに「富山湾の宝石」とも称される富山産の白エビを使用した「白えびビーバー」もあるのですが、売れすぎてしまったためにしばらく販売を見合わせていました。現在では北陸のスーパーで限定的ながら販売再開しています。ちなみに私、富山市のスーパーを数店回ってみましたが見つけることはできませんでした。見つからないとなると、どうしても食べてみたいと思うのが人情というもの。いつの日か必ず入手してみせようと心に誓ったのでした。
(あるのん)