CBS MarketWatchによると、第77回アカデミー賞の発表を前に、広告主の企業が心配しているのは、もちろん、だれがオスカーを取るかではない。だれがオスカーを見るか、だ。27日にロサンゼルスのコダック劇場で行われるアカデミー賞授賞式は、ディズニー傘下のABCテレビ・ネットワークで全米に放映されるが、最近の授賞式の低視聴率に加え、映画チケット売上も鈍く、エンターテインメント業界関係者からは、注目のアカデミー賞を取り巻くさえない環境を嘆く声が早くも聞こえている。

　　広告関連調査サービスのニールセン・モニタープラスによれば、今年のアカデミー賞の広告主は30秒のスポット広告に150万ドル（約1億5750万円）を支払うという。昨年、全米で4350万人以上がアカデミー賞授賞式をテレビで視聴、世帯視聴率は26％だった。これは2003年の視聴者数3300万人、世帯視聴率20％の2003年を上回るが、映画「タイタニック」でジェームス・キャメロン監督が11部門の賞を総なめにした際に、5500万人がチャンネルを合わせた1998年には遠く及ばない。最近の受賞式をみても、約2週間前に行われたグラミー賞は、U2、アリシア・キーズなど豪華キャストが参加、故レイ・チャールズへの賛辞が送られたが、視聴率は1995年以来最低の28％、視聴者数は1880万人と不振。1月のゴールデングローブ賞の視聴率も37％、昨年9月のエミー賞にいたっても視聴者数は1400万人と2年前に比べ30％以上減少した。作品賞候補に挙がっている「アビエイター」、「ネバーランド」、「ミリオンダラー・ベイビー」、「Ray/レイ」、「サイドウェイ」も、作品賞へのノミネートが決まった後、ようやくチケット売上が上向いているが、それでも総売上は1984年以来最低だ。賞のプロデューサーは若年の視聴者を取り込もうとコメディアンのクリス・ロックを司会者に起用している。【了】