木彫りのスプーンを毎日1本ずつ、1年間彫り続けたデザイナー

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ノルウェーのデザイナー、スティアン・ルードには日課がある。それは、毎日ひとつ、新しいスプーンを彫ることだ。彼がつくりだす個性的な作品たちとともに、若きデザイナーとスプーンの1年間を振り返る。

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7/25愛用の道具セット

8/25ノートから生まれるスプーンもある

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ひとつとして同じ形のスプーンはない

愛用の道具セット

ノートから生まれるスプーンもある

あらゆる食器のなかでスティアン・ルードが一番好きなもの、それはスプーンだ。ナイフは素晴らしい、フォークもいい。それでもスプーンが一番だ。そのカーブとエレガントな横顔は、このノルウェー人デザイナーを魅了している。

「スプーンに取り憑かれている」というほどではないにせよ、事実、ルードはかなりの時間をスプーンについて考えをめぐらすのに費やしている。日数にして355日間、彼は自分好みの木彫りのスプーンをつくり続けてきた。1日に1つ、それを355日、だ。

そして彼にはあと10日、残っている。

ルードはこの課外活動を「デイリースプーン」と呼ぶ。まさにその名の通りの活動だ。1年前に彼がこの活動を始めたのは、自らの木工技術を向上させるためだった。「小さい物を毎日つくるのがいいと思ったんだ」と、彼は言う。1日1つ、というのは彼の同僚のアイデアだったそうだ。

結果として、彼のつくるスプーンは人々を魅了し、自身の「Instagram」では400以上のいいね!を集めた。

脈々と流れる、職人の血

ルードはもとから木工の心得があったわけではないが、職人の血は確かに流れている。

彼が祖父の木工所を訪ね、木工道具と彫刻作業をその目で見たのは、大人になってからのことだった。それから数年後、祖父はある習慣を始めた。毎年クリスマスのたびに、彼は若きルードに木工具を送ったのだ。最初のプレゼントはシンプルなV字ラインを施すためのシンプルな罫引きだった。

「祖父が木彫を始めたときに、師匠から貰ったものさ」と、ルードは言う。「1900年代初頭の、すごく古いイギリス製の罫引きだったよ」

やがて、彼の手元には30以上の工具が集まった。すべてが祖父から譲り受けたものというわけではない。しかし、彼がスプーンをつくるのに使うのは、その中のほんの一部(日本製小型ナイフ、小さな木砕きナイフ、そしてボールナイフ)だ。スプーンを彫る上では、他の木工作業と同様、道具はとても重要なものだ。

ルードの仕事は良い木材を探すことから始まる。彼はイタリアからオリーブの材木(スーツケースに詰めらている)、ニカラグアからマホガニー(叔母からの贈り物)、そしてオスロ郊外からたくさんの樺の木を手に入れた。そして彼は、決まって1年間かけて木を乾燥させる。木は柔らかいときのほうが簡単に彫れるが、それはあとでひび割れにつながるのだ。

ルードは仕事として、2人の友人とデザインコレクティヴを経営している。そして仕事を終えると、彼は道具と木の塊をもって座り込む。シンプルなスプーンであれば15分ほどで彫れるが、複雑な形のものになると3時間近くかかる。スケッチから始めることもあれば、木からイメージが浮き上がってくることもある。

ルードは、決して自分がつくったスプーンで食事をしない。それにもかかわらず、彼は木の食器のあたたかさと口当たりをよく理解している。実際のところ、彼のスプーンはスープを飲むためにつくられたものではない。Instagram(ハッシュタグは#woodspeciesだ)にアップされている何百ものスプーンに目を通すと、ある興味深い法則が見つかる。スプーンはシンプルなものに始まり、だんだん実験的な形に変化しているのだ。その幾何学的な形は、もはや普通のスプーンではない。最近の彼は、スチームで木材を曲げることに夢中だ。

1年の彫刻期間も残りわずかとなり、ルードは新しくできる自由時間で何をするか考え始めた。展示会の予定は、今年既にある。また、彼は自分の作品をまとめた本を出すことを思いついた。

これから彼が、絶対にやらないと決めているのは、スプーンを彫ることだ。彼はこの1年を振り返ってこう言う。「思っていたよりはるかに長い1年だったよ」

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