脳科学者の茂木健一郎氏が自身のYouTubeチャンネルで「人工知能の爆進で見えてきた、「数学」と「自然言語」の深い関係」を公開した。動画では、AIの進化が数学界に与える衝撃と、自然言語が新たなプログラミング言語として機能し始めている現状について、独自の視点から解説している。

茂木氏はまず、数学の難問であるミレニアム問題の一つ「ナビエ-ストークス方程式」について、最近OpenAIのAIが解き明かしたという噂に言及。数学者とのやり取りを通じて重大なヒントを得た上で、AIのエージェントを「1万体使って88時間分回した」という手法を紹介した。これにより、これまで紙と鉛筆があればできるロマンチックな営みだった数学が、莫大な計算資源を要する力技に変わりつつあると指摘。「お金がないと数学できないよって話になってくる」と、数学界が抱える懸念を代弁した。

さらに議論は、数学と自然言語の関係へと展開する。従来、自然言語は曖昧なものとされてきたが、AIの内部では高次元のベクトル空間として数学的に処理されていると説明。AIに対して膨大な自然言語を与えることで、AIの振る舞いを制御できる時代になったと語る。茂木氏はこの状況を「自然言語によるプログラミング」と表現し、ジェイムズ・ジョイスの長編小説『ユリシーズ』に匹敵する膨大な文章を読み込ませることで、初めて到達できる思考の領域があると解説した。

最後に茂木氏は、熱力学第二法則のような数理的な素養と、シェイクスピアの戯曲といった文系的な教養が、AIを制御するための高度な素養として「対等になってきている」と強調。AIの爆発的な進化によって、文系と理系の境界が溶け合い、自然言語を巧みに操る力が新たな価値を生み出す世界が到来していることを示唆して動画を締めくくった。

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