餮(とうてつ)という中国神話の怪物は、何でも食べる。待ち合わせ場所は、多久聖廟。人妻の浩子が指定してきた。真夏の平日の真昼間。だだっ広い駐車場には、車がたったの3台。そのうちの2台が、ワタシたちである。浩子とは、フェイスブックのやりとりしかなかった。自称40代前半。子どもは2人。なにやら怪しい宗教に傾倒していることだけはわかっていた。佐賀県の多久は、何もないところである。ひとつだけあるとしたなら・・・