恋愛で1冊本が書ける人というのは、だいたい生まれもっての恋愛上手ではない。どこかしら恋愛にコンプレックスや歪みがあり、それを技術で乗り越えたり恋愛について延々と悩んだりしたからこそ、1冊分の分量が生まれる。元恋愛下手が書く、恋愛下手に向けた、誰も答えがわからない自己啓発書──それが恋愛本の普遍的な正体だ。悪いフォームが身に着くとスポーツの成績が伸び悩むように、変な恋愛論がしみつくとズレた行動を繰り返