参加自体が自己目的化していないか?TPPを巡る議論の危うさ【岸博幸コラム】
11月のAPEC首脳会合というデッドラインが近づくにつれ、TPPを巡る政府与党内の議論とメディアの報道が盛り上がってきましたが、どうも偏った議論ばかりが横行しています。このままで交渉への参加・不参加が意思決定されて大丈夫なのでしょうか。
TPPに既に参加している9カ国は、11月のAPEC首脳会合で大枠について合意をしようとしています。即ち、日本がTPPの交渉に参加しようと思うならば、そこで参加の意思表示をした方がいいし、米国からも参加の決断を求められています。
最大の問題は、貿易自由化を巡る過去の議論と同様に、“部分均衡”の議論に終始してしまっているということです。TPP参加によって影響を受けるであろう農業などの特定の産業をどうするかの議論ばかりになっているのです。
もちろん農業についても、日本の農業への影響をいかに最小化するか、TPPを契機に農産品の国内価格維持が主眼であった農政をいかに大転換するか、といった大事な論点はあります。
今の民主党内での議論は、そうした建設的な議論なしに「農業を守るためにTPP反対」ばかりで、情けない限りではありますが、それ以上に問題と思うのは、日本経済全体を踏まえてTPPにどう対応すべきかという議論が皆無であることです。
今の日本経済で最大の問題は何でしょうか。東日本大震災の影響ももちろんありますが、それ以上に深刻なのは間違いなくデフレと円高です。デフレはもう15年程度続いており、それが民間部門の将来期待を極端に低下させたので投資も消費も盛り上がりません。円高も異常な水準が続いて、輸出関連の企業や下請けの中小企業の収益を圧迫しています。
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