再び「反社」との関連が……(Photo by yo & via Flickr)

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 1年半ほど前、系列信販会社オリコを通じた提携ローンでの「暴力団融資」問題に揺れたみずほ銀行が、ふたたび反社会的勢力のからむスキャンダルに襲われようとしている。大手紙社会部記者が話す。

「警視庁が春の人事異動を終えるのに合わせ、みずほの元幹部行員による詐欺事件の立件に動く可能性が高いのです」

 もっとも、この問題は1年以上も前からネットメディアを中心に話題になっていた。きっかけとなったのは、しばらく前からネットを中心に出回っていた1枚のチャートだ。みずほを中心に、系列のみずほキャピタルが株買収を進めていた株式会社ぎょうせい、そして同社関係先が絡んだ新宿の不動産案件、さらにそれらにつながる暴力団トップの名前などが並んでいたのだ。 

 ただし、そこに記された内容の多くは過去にも取り沙汰されている。新しかったのは、チャートのほぼ中央に置かれたみずほの元幹部行員・O氏の名前と、彼が手がけていた年利8%の金融商品販売についてだった。

 今どきあり得ない利率でもあり、事実そんなものが売られていたとすれば、詐欺であろうことは容易に察しがつく。ほどなく「カネを騙し取られた」とする投資家の証言が伝わるようになり、アングラ情報を得意とするネット情報誌が、みずほに噛みつくという構図がしばらく続いた。

 そして警視庁捜査2課が、被害者からの告訴状をようやく受理したのが2014年9月30日のことである。被害者の関係者が語る。

「警察に対する働きかけは以前から行っていました。しかし暖簾に腕押しで、なかなか動こうとしなかった。警察は、みずほには責任の及ばない『個人の犯罪』として立件するための道を模索していたようです」

みずほにいる警察OBが捜査現場に圧力をかけた?

 事件の構図は、みずほ銀行本店で審査第二部審査役の地位にあったO氏が、みずほキャピタルが実際に進めていた「ぎょうせいの株買収スキーム」をネタに投資家に近付き、月利3%という常識外れの利率を提示して数千万から億単位のカネを騙し取るというものだった。しかも、O氏は投資家をみずほ本店に招き、応接室で投資話の説明を行っていた。

 さらに、O氏の言動を不審に思った投資家からの電話での問い合わせに対し、みずほの担当者は「当行とは一切、関係ございません」といった類の、木で鼻をくくったような対応に終始。徹底的な社内調査を行って当然のところ、逆に責任逃れを繰り返して事件の発覚を遅らせている。常識的に見て、みずほの管理責任は逃れられるものではない。

「みずほは多数の警察OBを受け入れており、彼らを通じて捜査現場に圧力をかけ、動きを遅らせていたようです。しかし現場としても、事件の詳細がネットで刻々と明かされる状況下では、いつまでも着手しないという訳にはいかない。一時はネット情報誌に威力業務妨害を適用し、力ずくで黙らせようという物騒な案も浮かんでいたようですが、結局は立ち消えになりました」(事件に詳しい経済ジャーナリスト)

 そして、オリコの暴力団融資問題から一定の時間が経過してようやく、警察も捜査着手にはこの辺が頃合いと踏んだのかもしれない。

 今後の焦点は、警察の捜査がどこまで踏み込むかだが、たとえそれが“生煮え”に終わっても、被害者らはみずほを相手取り民事訴訟も起こしている。ネット情報誌による事件の「実況中継」は恐らくこれから数年に渡って続き、みずほを悩ませることになるかもしれない。

(取材・文/李 策)