使えないマイレージ、取り消せない会員登録/日沖 博道
昔からのマイレージ会員なのに既発行の会員番号でのオンライン登録ができない、そしてランダムに振り出された新しい会員番号と紐付ける方法が不明。しかも一度発行した新番号の登録が取り消せず、強制的にメールが送られてくる。こんなことをやっていては嫌がられるのは当たり前。
以前このコラムで、某Tポイントから退会できないという、小生自身の呆れかえる体験をお伝えしました。
「ポイントサービスからの退会手続きに難儀するとは」 http://www.insightnow.jp/article/8292
それから約1ケ月経った今もその退会手続きは完了していないようで、いまだに同本部と2店からの案内メールは続いており、最初の退会申し込みからは半年が経過しようとしています。その苦々しい記憶が薄れないうちに、今度は小生の娘が別件で、類似の体験をさせられました。今度の相手は海外系航空会社(「D航空」)です。
小生は昔から出張が多く、複数の航空会社で随分とマイレージを貯めています。ところが休暇スケジュールの都合が合わなかったのと、手続きが面倒そうだったため、このD航空で一度アップグレードに使ったことがあるだけで(これはカウンターで口頭申し込みができたため簡単でした)、マイレージを航空券に交換したことは一度もありません。やり方を知らないのです。
ところが最近、長い春休みを持て余している大学生の娘が「海外旅行に行きたい」と言い出しました。就学前には随分連れていきましたが、確かに最近は家族での海外旅行をしていません。そこで結構マイレージの貯まっているはずのD航空でどう使えるものか、検討しようということになりました。親はどちらも忙しいため、我が家で一番そうしたことに長けている娘に、「自分と母さんのマイレージを使えるのか、を含めて調べてくれ」と依頼しました。
娘は少々面倒がりながらも、D航空のウェブサイトで調べ始めました。やがてぶつぶつと「何これ…」と言いながらも、該当しそうな箇所を読んでは、「違うな」とか言って、また別のページを読む。昔送られてきた会員カードの番号を入力しては首をひねる。小生に「私の会員パスワードは?」と尋ねて、「そんなものないよ」という答に再び首をひねる、といったことを繰り返していました。
やがておもむろに、「自分のマイレージを確認するのには、私たち会員登録し直さなきゃいけないかも」と言うのです。そう、あまりに昔からの会員で、しかも最近は同航空を使っていない娘と妻はオンライン登録されていないのです。そこまでは事態を理解できた小生は「じゃあ、面倒だけど自分のオンライン登録をやってみて」とお願いしました。
しかしここからが大変だったのです。娘は会員登録のため、個人情報やら暗証番号を忘れた時のための秘密の情報などをウェブで入力しました。そして確認メールを受け取り、改めて会員登録が終了してみると、オンライン会員の番号はランダムに織り出されてしまうので、元々持っている会員番号とは一致しません。つまり、この新たに振り出されたオンライン会員番号は何の役にも立たないのです。D航空のウェブサイトでいくら探しても、本来の会員番号と紐付けするような方法は見つかりません。1時間以上悪戦苦闘して、娘は遂に「この方法では無理みたい」と降参宣言しました。
しかし事はそれで終わりません。何と新規に登録したオンライン会員からの退会、つまり登録削除ができないのです。当該ウェブサイトを娘が舐めるように読んだ結果、見つかったのは「一度振り出したオンライン会員は取り消せません。でも費用は発生しないので、心配しないで」というふざけたメッセージだそうです。マイレージが貯まっているはずの会員番号の情報は何一つ取れず、その代わりマイレージゼロの、「祝福されない」会員番号が別に生まれ、「堕胎」もできないわけです。
娘は呆れかえり、おもむろに、情報内容のうち変更できるものは全て架空の内容に変更しました。よく知らないような国籍に変え、ありもしない住所に変え、この世に存在しないようなでたらめな名前に変えました。それでも避けられないのは、自分のメールアドレスに定期的に、訳の分からない会員に関する無意味な情報が送られてくるという事態です。
このあとで娘はぼそっと告げました。「D航空はもう一生使いたくない」と。あとの調べは小生に任されました。そして彼女は家族旅行とは別に、友人とシンガポールに旅行する予約を、さっさとその週に取ってきたのです。久しぶりの家族旅行を諦め切れない小生は、今週の仕事のピークを越えたらD航空に問い合わせてみるつもりですが、調べの続きはいつできるやら…。
航空会社のマイレージプログラムというのは本来、顧客リテンション(保持)のための仕掛けです。でもD航空の場合、その分かりにくく配慮に欠けたウェブサイトとシステムのせいで、うちの娘という将来の顧客を確実に失ったのです。そして小生も、使えないマイレージを貯める意欲はそろそろなくなってきました。来月にも海外出張があるけどなぁ…。
以前このコラムで、某Tポイントから退会できないという、小生自身の呆れかえる体験をお伝えしました。
「ポイントサービスからの退会手続きに難儀するとは」 http://www.insightnow.jp/article/8292
小生は昔から出張が多く、複数の航空会社で随分とマイレージを貯めています。ところが休暇スケジュールの都合が合わなかったのと、手続きが面倒そうだったため、このD航空で一度アップグレードに使ったことがあるだけで(これはカウンターで口頭申し込みができたため簡単でした)、マイレージを航空券に交換したことは一度もありません。やり方を知らないのです。
ところが最近、長い春休みを持て余している大学生の娘が「海外旅行に行きたい」と言い出しました。就学前には随分連れていきましたが、確かに最近は家族での海外旅行をしていません。そこで結構マイレージの貯まっているはずのD航空でどう使えるものか、検討しようということになりました。親はどちらも忙しいため、我が家で一番そうしたことに長けている娘に、「自分と母さんのマイレージを使えるのか、を含めて調べてくれ」と依頼しました。
娘は少々面倒がりながらも、D航空のウェブサイトで調べ始めました。やがてぶつぶつと「何これ…」と言いながらも、該当しそうな箇所を読んでは、「違うな」とか言って、また別のページを読む。昔送られてきた会員カードの番号を入力しては首をひねる。小生に「私の会員パスワードは?」と尋ねて、「そんなものないよ」という答に再び首をひねる、といったことを繰り返していました。
やがておもむろに、「自分のマイレージを確認するのには、私たち会員登録し直さなきゃいけないかも」と言うのです。そう、あまりに昔からの会員で、しかも最近は同航空を使っていない娘と妻はオンライン登録されていないのです。そこまでは事態を理解できた小生は「じゃあ、面倒だけど自分のオンライン登録をやってみて」とお願いしました。
しかしここからが大変だったのです。娘は会員登録のため、個人情報やら暗証番号を忘れた時のための秘密の情報などをウェブで入力しました。そして確認メールを受け取り、改めて会員登録が終了してみると、オンライン会員の番号はランダムに織り出されてしまうので、元々持っている会員番号とは一致しません。つまり、この新たに振り出されたオンライン会員番号は何の役にも立たないのです。D航空のウェブサイトでいくら探しても、本来の会員番号と紐付けするような方法は見つかりません。1時間以上悪戦苦闘して、娘は遂に「この方法では無理みたい」と降参宣言しました。
しかし事はそれで終わりません。何と新規に登録したオンライン会員からの退会、つまり登録削除ができないのです。当該ウェブサイトを娘が舐めるように読んだ結果、見つかったのは「一度振り出したオンライン会員は取り消せません。でも費用は発生しないので、心配しないで」というふざけたメッセージだそうです。マイレージが貯まっているはずの会員番号の情報は何一つ取れず、その代わりマイレージゼロの、「祝福されない」会員番号が別に生まれ、「堕胎」もできないわけです。
娘は呆れかえり、おもむろに、情報内容のうち変更できるものは全て架空の内容に変更しました。よく知らないような国籍に変え、ありもしない住所に変え、この世に存在しないようなでたらめな名前に変えました。それでも避けられないのは、自分のメールアドレスに定期的に、訳の分からない会員に関する無意味な情報が送られてくるという事態です。
このあとで娘はぼそっと告げました。「D航空はもう一生使いたくない」と。あとの調べは小生に任されました。そして彼女は家族旅行とは別に、友人とシンガポールに旅行する予約を、さっさとその週に取ってきたのです。久しぶりの家族旅行を諦め切れない小生は、今週の仕事のピークを越えたらD航空に問い合わせてみるつもりですが、調べの続きはいつできるやら…。
航空会社のマイレージプログラムというのは本来、顧客リテンション(保持)のための仕掛けです。でもD航空の場合、その分かりにくく配慮に欠けたウェブサイトとシステムのせいで、うちの娘という将来の顧客を確実に失ったのです。そして小生も、使えないマイレージを貯める意欲はそろそろなくなってきました。来月にも海外出張があるけどなぁ…。