尽きないAVよもやま話に会場は大盛況だった

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 人気放送作家の鈴木おさむ氏が上梓した新書「AV男優の流儀」の刊行記念イベントが先日、新宿ロフトプラスワンにて行われた。ゲストには、カンパニー松尾監督、しみけん、森林原人、黒田悠斗の同期AV男優三銃士が揃い踏み。サプライズゲストとしてカンニング竹山氏や有村崑氏も登壇し、満員の会場はAV談義に終始、大爆笑。約150人の観客の中には女性客も多く見られ、AV男優人気の高さがうかがえた。イベント終了後に本書の著者であり、自他ともに認めるAVファンである鈴木おさむ氏に直撃インタビューを行った。

血液まで仕事に染まる職業

──そもそも本書を執筆するきっかけは?

鈴木おさむ(以下、鈴木) 去年、AV男優を題材とした「AVM」という舞台をやったんですけど、その脚本執筆をするにあたって男優さんの取材兼対談を行ったのが始まりです。AV女優だったら(仕事をするにあたって)何かしらお金が絡むケースがあるけど、男優さんの場合はそもそも同性として「なぜAV男優になるんだろう?」、「現場では気持ちイイのか?」と謎が多かったんですよね。

──対談では男優や監督のAV撮影秘話だけでなく、それを通じて「男の一生の仕事」「仕事とは?」ということにまで言及しているのが心に残りました。

鈴木 僕の周りには芸人さんがイッパイいるんですけど、中には10年やって売れなくてそれでもなお続けている人もいる。けど売れていようが、売れていまいが、そこまで芸人を続けていると「血液が芸人」になるんですよね、身体の底から芸人になっていくというか。

 もちろんやっている当事者全員が「魂をかけてやっているぜ!」とは思っていないかもしれないですが、この取材をしている中でAV男優さんにも同じようなものを感じたんです。普通に会社に勤めている人が命をかけて自分の仕事に向き合っている、というのとまた違う。AV男優って「血液までAV男優」になっていないとやれない仕事だと思うんです。これは芸人、ひいてはミュージシャンにも共通して言えることかもしれませんね。

──鈴木さんは大のAVファンということですが最近見たAVで面白かったものはありますか?

鈴木 最近見てよかったのが、マジックミラー号シリーズで男女の友達同士が果たしてHをするのか、というものです。友達同士がマジックミラーに乗って最初はハグから始めるんですけど、徐々に札束を渡していくうちに彼らがHまでするのかどうか、その顛末を「本当に友達なのかな」「全く知り合いじゃなかったとしたらあんな演技できないよな」と思いながら見ると、やたら興奮するんですよね。同じような企画で上司と部下という設定があったけどあれはちょっとウソクサ過ぎて見ていられなかったけど(苦笑)。

──勝手ながら鈴木さんのようなバラエティを多く手がけている方なら「演出の全てを裏も表もお見通しだろう」というイメージがあったのでなんだか意外です。

鈴木 こういう企画って全部は嘘じゃないと思うんですよ。もしこれがすべて監督が指示して、出てくる人たちが演技をしていたら役者として完璧過ぎる。だけどそんなわけないし、この「友達同士」というシチュエーション自体がエロいし、その中で僕は特に女の子のリアリティを見てしまうんですよね。

 僕、AVにはある程度のリアリティがないとダメなんです。だから基本見るジャンルも素人ものやドキュメントものが多いんです。女優ものはデビューものだけですね。登場人物にそれぞれ関係性があるものがいいなあ。

──では最後に今後のAV業界へのリクエストや要望をお聞かせください。

鈴木 去年は「劇場版テレクラキャノンボール2013」が大いに盛り上がってAVを違うステージに引き上げた。これを受けてこれからもテレキャノみたいに可能性を広げるAVを見たいと思っています。

鈴木おさむ(すずきおさむ)1972年、千葉県生まれ。放送作家。代表的な構成番組に、「SMAP×SMAP」「Qさま」等がある。2014年8月にはAVを題材にした舞台「AVM」を作・案出し、各方面から高い評価を受けた。近著に「AV男優の流儀」(扶桑社)がある。

(取材・文/アケミン)