調達購買資材部門ベンチマーク調査結果について/野町 直弘
昨年の9月中旬〜10月にかけて皆様にご協力いただきましたアンケート調査のレポートについて取り上げます。
皆様新年あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願い申し上げます。
今年最初の記事になりますが、今回は昨年の9月中旬〜10月にかけて皆様にご協力いただきましたアンケート調査のレポートについて取り上げます。
当レポートは株式会社アジルアソシエイツのホームページにて無料で取得可能です。是非ご参照ください。
http://www.agile-associates.com/2015/01/vol21_2014...
2005年から私共は調達購買部門向けのアンケート調査を行ってきましたが、今回はその内容を大きく変えてベンチマーク調査を実施しました。この調査では日本企業の調達購買部門の実態を定量的に把握するというおそらく日本で初めての試みを行いました。
調査の内容、結果についてはレポートを読んでいただきたいのですが、ここでは特徴的な点をいくつか上げておきます。
一点目は米国と日本の調査結果でそれほど大きな差は見られなかった、という点です。今回の調査は日米比較を行うことを目的に米国のCAPS Researchが実施公開しているSupply Mgt. Performance Benchmarking Reportで調査を行っている項目について同様の調査を行いました。例えば「調達部門人員の全社員に占める比率」「戦略調達業務に従事する比率」とか「調達部員一人当りの平均支出(購買)金額」など。
結果としては想定よりも米国平均と今回回答平均(日本企業)の差はあまり見られなかったということです。例えば「調達部員一人当りの平均支出(購買)金額」は今回回答は約23億円であり米国平均は21百万ドルというように比較的差が小さいことが特徴として上げられます。
二点目は定説的に語られていること、これが正しいことが立証されています。例えば「売上に占める外部支出金額の比率」ですが、通常5割から高い業種や企業で8割程度とよく語られます。今回の調査結果この比率は約57%でした。つまり通説の範囲内に入っています。
もう一つの例は「80%の支出を占めるサプライヤの(全サプライヤに対する)比率」です。今回調査結果ではこの数値は約18%となっています。一般的には80-20の法則で20%が80%を占めると言われますが、まあそれに近い数値になっていることが理解できるでしょう。
三点目は今回の調査結果でとても特徴的な米国と大きなひらきがある2つの項目についてです。それは「全支出に占める調達部門が管理している支出金額比率」と「調達部員1人当りの平均年間費用」の2項目になります。
「全支出に占める調達部門が管理している支出金額比率」については今回回答平均は56%であり、米国平均は83%です。とても大きな差があります。この点については現状の日本企業の調達購買部門の課題と言っても差支えないでしょう。この比率は一般的に『調達購買カバー率』と言われますが、最近では『カバー率』を主要KPIとして管理し始めている企業も少なくありません。ただし『カバー率』向上を課題として捉えはじめたのはつい最近であり、まだまだ向上の余地があることが今回の調査からも浮き彫りになっています。
もう一つの「調達部員1人当りの平均年間費用」ですが、今回回答平均は877万円と米国平均の127千ドルとで大きな差が見られます。為替レートの変動もあるので単純な比較はできませんが、1ドル=120円で換算すると米国は1524万円です。つまり今回調査に対して米国は1.7倍の費用がかかっているということです。私は今回の調査結果が「想定していたより安い」つまり日本企業の877万円という費用が安いことに驚きました。通常人件費だけでなく福利厚生その他諸々の経費を合わせると日本国内の人件費は平均で1200〜1500万円程度、低くても1000万円は超えるという認識だったからです。この点に関しては既に日本企業の調達購買部門においてLCB(ローコストバイヤー)活用が進んでいることが理由の一つとして上げられます。実際に今回調査の過程で何社かに「低すぎませんか?」という確認をしたところ「グローバル化が進んでいるので正しい」というコメントをもらいました。このように日本企業においてLCB活用は既に進み始めているのです。
『調達購買カバー率』の向上については2013年10月29日号のメルマガ「管理可能な支出を増大せよ!」でもふれています。
http://www.agile-associates.com/2013/10/20131029.h...
また『LCBの活用』についても2013年12月24日号のメルマガ「LCBとオリンピックと内なる国際化」でもふれています。
http://www.agile-associates.com/2013/12/20131224lc...
今回のこの2項目の調査結果は日本企業の調達購買部門の課題や実態をより反映させた特徴的な内容と言えるのではないでしょうか。
是非「調達購買資材部門ベンチマーク調査報告」をご覧になって自社の調達購買部門と定量的な比較をしてみてください。
http://www.agile-associates.com/2015/01/vol21_2014...
皆様新年あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願い申し上げます。
今年最初の記事になりますが、今回は昨年の9月中旬〜10月にかけて皆様にご協力いただきましたアンケート調査のレポートについて取り上げます。
当レポートは株式会社アジルアソシエイツのホームページにて無料で取得可能です。是非ご参照ください。
http://www.agile-associates.com/2015/01/vol21_2014...
調査の内容、結果についてはレポートを読んでいただきたいのですが、ここでは特徴的な点をいくつか上げておきます。
一点目は米国と日本の調査結果でそれほど大きな差は見られなかった、という点です。今回の調査は日米比較を行うことを目的に米国のCAPS Researchが実施公開しているSupply Mgt. Performance Benchmarking Reportで調査を行っている項目について同様の調査を行いました。例えば「調達部門人員の全社員に占める比率」「戦略調達業務に従事する比率」とか「調達部員一人当りの平均支出(購買)金額」など。
結果としては想定よりも米国平均と今回回答平均(日本企業)の差はあまり見られなかったということです。例えば「調達部員一人当りの平均支出(購買)金額」は今回回答は約23億円であり米国平均は21百万ドルというように比較的差が小さいことが特徴として上げられます。
二点目は定説的に語られていること、これが正しいことが立証されています。例えば「売上に占める外部支出金額の比率」ですが、通常5割から高い業種や企業で8割程度とよく語られます。今回の調査結果この比率は約57%でした。つまり通説の範囲内に入っています。
もう一つの例は「80%の支出を占めるサプライヤの(全サプライヤに対する)比率」です。今回調査結果ではこの数値は約18%となっています。一般的には80-20の法則で20%が80%を占めると言われますが、まあそれに近い数値になっていることが理解できるでしょう。
三点目は今回の調査結果でとても特徴的な米国と大きなひらきがある2つの項目についてです。それは「全支出に占める調達部門が管理している支出金額比率」と「調達部員1人当りの平均年間費用」の2項目になります。
「全支出に占める調達部門が管理している支出金額比率」については今回回答平均は56%であり、米国平均は83%です。とても大きな差があります。この点については現状の日本企業の調達購買部門の課題と言っても差支えないでしょう。この比率は一般的に『調達購買カバー率』と言われますが、最近では『カバー率』を主要KPIとして管理し始めている企業も少なくありません。ただし『カバー率』向上を課題として捉えはじめたのはつい最近であり、まだまだ向上の余地があることが今回の調査からも浮き彫りになっています。
もう一つの「調達部員1人当りの平均年間費用」ですが、今回回答平均は877万円と米国平均の127千ドルとで大きな差が見られます。為替レートの変動もあるので単純な比較はできませんが、1ドル=120円で換算すると米国は1524万円です。つまり今回調査に対して米国は1.7倍の費用がかかっているということです。私は今回の調査結果が「想定していたより安い」つまり日本企業の877万円という費用が安いことに驚きました。通常人件費だけでなく福利厚生その他諸々の経費を合わせると日本国内の人件費は平均で1200〜1500万円程度、低くても1000万円は超えるという認識だったからです。この点に関しては既に日本企業の調達購買部門においてLCB(ローコストバイヤー)活用が進んでいることが理由の一つとして上げられます。実際に今回調査の過程で何社かに「低すぎませんか?」という確認をしたところ「グローバル化が進んでいるので正しい」というコメントをもらいました。このように日本企業においてLCB活用は既に進み始めているのです。
『調達購買カバー率』の向上については2013年10月29日号のメルマガ「管理可能な支出を増大せよ!」でもふれています。
http://www.agile-associates.com/2013/10/20131029.h...
また『LCBの活用』についても2013年12月24日号のメルマガ「LCBとオリンピックと内なる国際化」でもふれています。
http://www.agile-associates.com/2013/12/20131224lc...
今回のこの2項目の調査結果は日本企業の調達購買部門の課題や実態をより反映させた特徴的な内容と言えるのではないでしょうか。
是非「調達購買資材部門ベンチマーク調査報告」をご覧になって自社の調達購買部門と定量的な比較をしてみてください。
http://www.agile-associates.com/2015/01/vol21_2014...