好きな洋楽の曲をまず歌ってみよう

写真拡大

 楽天やユニクロが英語を社内公用語にするなど、ビジネスの現場では英会話の能力が強く求められるようになっている。

 しかし、なかなかマスターできずに頭を悩ましている人が多い。そうしたなか、英会話をマスターする新しいメソッドが誕生し、いま注目を集めている。どこが新しいのかというと、「洋楽」の歌詞を口ずさむことで英会話をマスターしてしまう点である。

「私は大学を卒業して社会人になったとき、まったく英会話ができませんでした。ただし、米国留学の夢を持ち続け、30歳のときに念願のボストン大学のMBAコースへの入学を果たしました。留学に際してはTOEFLのスコアが重視されます。リーディング、リスニング、文法の3分野のテストがあるのですが、全てで95%以上の得点が求められます。文法とリーディングはコツコツ勉強すれば、スコアは伸びていくものです。しかし、リスニングだけは如何ともしがたい。悩んでいたある日、マイケル・ジャクソンのCDを聴いていて、『もしかして』と試してみたのが、洋楽の歌詞の聴き取りだったのです」

 こう語るのは2014年2月に下北沢と新宿で「洋楽英会話のLAVOC」を開講したファイナンシャルエクセレンスの平田啓社長である。よく知っている歌でも、意外と歌詞を正確に聴き取れないもので、平田社長は何度も何度も繰り返し聴いた。そして、分かるようになると、今度はそれが面白くなり、次々と新しい曲に挑戦していった。すると、みるみる内にリスニングのスコアもアップしていったそうだ。

「実際に留学してみて面白いことに気が付きました。アフリカや中南米などからの留学生仲間が数多くいて、彼らは流暢な英語を話します。でも、彼らの出身国では、学校の授業に英語がなかったり、日本のような英会話学校もないところが多いのです。ではどうやって勉強したのかを尋ねると、ラジオで洋楽を聴いたという人がほとんどでした。だったら、このメソッドをいつか日本で定着させたいと考え続けてきました」

 そう語る平田社長によると、洋楽で「英語耳」を鍛えると、頭のなかに聞いた英語のフレーズがきれいに残り、それをそのまま発音することで、ネイティブに近い英語を話せるようになるそうだ。平野社長はMBAのディスカッションの成績が、留学生の中で常にトップクラスだったのだが、それも成果の一つだと考えている。

 ところで、気になる洋楽英会話のレッスン内容だが、聞いたことのある有名な曲をピックアップして、まず聞き慣れたサビの部分の聴き取りを行う。そして自分が聴いたとおりフレーズを書き出し、口ずさんでみる。その後に正解の歌詞と答え合わせ、単語の意味や、文法的な説明を受ける。そして、正解の歌詞にリズムやメロディーをつけながら歌ってみるというわけだ。

 今では洋楽で英会話を教える教室もすこしずつ増えてきている。教室でプロから教わるもよし、まずは自宅でトライしてみるもよし、好きな洋楽を聞きながら、英語のスキルアップが望めるならまさに一石二鳥と言えそうだ。

(取材・文/松本周二 写真提供/LAVOC)