「少年ジャンプ+」HPより

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 まず、確実に来そうなものから。

 2015年春からアニメが始まる「ニンジャスレイヤー」は海外での評価が楽しみな一作です。

 ニンジャスレイヤーはアメリカ人原作の小説で、日本人がツイッターで翻訳連載をして火が付いたコンテンツです。トリガーによるアニメ化ということで国外での注目度も高くなっています。

 無論、アメリカのアニメファンも目にすることでしょう。アメリカ人が日本を色々と勘違いした描写が特徴の本作ですが、日本を経由して本国アメリカにトンボ返りするわけで、どのような国際的勘違いや混乱を巻き起こすのか、今からとても楽しみにしています。イェー、クールジャパン!

 僕の愛読している雑誌『週刊少年ジャンプ』では、「僕のヒーローアカデミア」が2015年に更なる飛躍を遂げると見ています。気弱な少年が良き師を得て、ライバルと競い合いながら悪の組織と戦うというド王道のストーリーながらも、既にジャンプ本誌では高い人気を得ており、クオリティも安定していることから、これからも着実にファンを増やしていくものと思われます。

 気の早いアニメ業界のことですから、既にオファーの話も行ってるんじゃないですかね。個人的には、同じく王道でクオリティの高い「火ノ丸相撲」にもガツンと来て欲しいところですが。

新しいビジネスモデルが加速

 さて、ここからは来るのかどうかややあやふやなラインを……。

 ジャンプと言えば、2014年には「少年ジャンプ+」という電子書籍用アプリが発売されました。

 ネット上で無料で読める漫画サイトは「裏サンデー」「クラブサンデー」「ヤングマガジン海賊版」「Champion タップ!」などがありますが、「ジャンプ+」の特徴は週刊少年ジャンプ本誌が読めること(有料)。

 有料とはいえジャンプ本誌のデジタル需要は高いと思われ、こちらを有料購入した読者が、ついでにジャンプ+の無料漫画を読み、それらの単行本を購入する、という流れを意図していると思われます。

 発行部数大手である少年ジャンプが「読者が電子で漫画を読む動機」を作ったことで、「裏サンデー」などの読者も増えて、この形態の「漫画を合法的に無料で楽しむ」流れが2015年にはさらに強くなっていくのではないかと思います。

 各漫画、サイトごとに気に入った1〜2作品をチョイスして読み続けていく、といった贅沢な読書体験が今後は主流になっていくのではないでしょうか。

 ニンジャスレイヤーにしろWeb漫画にしろ、無料で楽しめるコンテンツは主にネット上でたくさん増えてきました。絶版マンガ図書館の存在も大きいですね。

 時間を潰す、余暇を楽しむ、というだけなら、無料でほとんど賄えてしまう状況に近づいて来ているように感じます。

 となるとコンテンツに関しては、消費者側の意識も「何かが欲しいからお金を払う」から「好きなものを応援するためにお金を使う」といった形にゆるやかに変わっていくと思います。上記、絶版マンガ図書館の「JコミFANディング」もその一例でしょう。

 このようなビジネスモデルが2015年はもう少し加速して行くと思います。加速したらいいな。

 そのような価値観変容に関するネット以外での事例としては「バーニングジャパン」も注目を集めるのではないでしょうか。

 貨幣が使えない空間で、ギブ&テイクではなくギブ&ギブの精神で、互いに与え合い、支えあっていく経験は、ほんの数日間の非日常的空間とはいえ、新しい消費観念の嚆矢となるやもしれません。 

 しかし、個人的に一番楽しみなのはやはりニンジャスレイヤーのアニメ化ですね! メリケンどもが混乱する姿を早く見たい!!

著者プロフィール

作家

架神恭介

広島県出身。早稲田大学第一文学部卒業。『戦闘破壊学園ダンゲロス』で第3回講談社BOX新人賞を受賞し、小説家デビュー。漫画原作や動画制作、パンクロックなど多岐に活動。近著に『仁義なきキリスト教史』(筑摩書房)